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五島市を考えよう!

21,販路拡大
22,島野菜(しまやさい)の会
23,施設の協力
24,体験型農業
25,余暇活動農業
26,島野菜(しまやさい)再説明
27,島野菜(しまやさい)纏め
28,島ん市場
29,島ん市場(2)
30,漁業と河川
31,漁業と海
32,土木工事
33,一次産業について
34,商店
35,湯布院
36,物見遊山型
37,湯布院(2)
38,「こみせ」について
39,最終回

番外・・合併半年

 このページでは、平成17年6月末をもって廃刊となった五島市のタウン情報誌「ごとうアイランドプレス」に、ゆうとく薬局の薬剤師が連載させていただいていた、「五島市を考えよう」を紹介したいと思います。

《目次》

1,五島市を考えよう(1)
2,なんでもランキング
3,お金の流れ
4,外貨
5,島野菜(しまやさい)
6,一次産業
7,お便り
8,自然共存
9,河川
10,観光・シルバー産業
11,近自然型
12,ネット環境
13,川掃除
14,空気
15,島野菜(2)
16,旬野菜
17,無農薬
18,生活改善
19,島野菜(しまやさい)条例
20,ブランド認定

1,五島市を考えよう(1)2004.8.5

 平成16年8月1日の合併以降、議会・行政関係・民間と、五島市としての動きが活発になってきています。
 今後は合併するしか方法がなかったというような考えではなく、この合併を前向きに捉え、合併して五島市が一つにまとまる事によって五島市全体の産業の発展を考えられるような方策を考えていかなければなりません。
 では、五島市がひとつにまとまることによって、良くなることとは何でしょうか。

効率化

 現在はまだ実行されてないようですが、議員さんや行政の方たちの人員が少なくなることによるスリム化、会議費、出張費の削減等も将来的には考えられるでしょう。また、ごみ処理施設やリサイクル施設などの環境施設。観光施設・産業施設・プールや運動施設の公共施設・設備などを五島市全体で考えることによる建築費、人件費、維持費の削減等も十分に考えられることだと思います。

推進化
 河川・護岸・土・水・空気なども含めた環境問題など、同じ島でも行政区間が違っていて難しかった事業や、同様の観光開発、一次産業の活性化、地場産業の育成など、島全体として取り掛からなければならない事業、島が同じ方向を向かないと取り組めなかった事業などが、同じ五島市となることによって、統一した考えで進んでいけるということは重要なことだと考えます。

 このコーナーでは、五島市がすばらしい街になるよう、読者の皆さんと一緒になって様々なアイデアを提案して行きたいと考えています。
 たとえば

五島市の経済政策について
一次産業の活性化案
環境保全も含め観光の復興について
地産地消も含め地場産業の育成強化について
離島最大のネックである交通機関についての考え
今後の公共事業について
小離島も含めたネット環境や通信対策について
風力・太陽光発電等のエネルギー対策について
障害者対策について
維持費のかさむ公的施設の運営管理について
 次週より一つ一つ考えて生きたいと考えておりますので、皆さんのご意見・ご提案を募集しています。よろしくお願いいたします。
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2,なんでもランキング2004.8.12

8月7日付の日経新聞紙上の「何でもランキング」で、なんと三井楽の高浜が、日本一の「砂浜のきれいな海水浴場」に選ばれました。沖縄のブセナビーチや、エメラルドビーチ等々、全国各地の名だたるビーチを押しのけての堂々の一位です。すばらしいですね!五島で生まれ育った私たちも、見るたびにきれいな海だとは思っていましたが、全国をつぶさに歩いている専門家の方々が、客観的に見ての一位ですから本物ですよね〜。行ったこともないのに、沖縄の海よりもきれいなはずだ!と確信していた私も、これで胸を張って「日本一!」と叫ぶことができます。本当にうれしいですね。

そこでお願いしたいのは、これ以上、海やその周辺を破壊するようなことは極力やめてほしいということです。そうは思いませんか? 高浜は、最近できた、きれいで便利なトンネルを通って横向きに観るよりも、旧道に入って観音様の展望台の下を左に回って降りてきたとき、眼下にエメラルドグリーンの海が目に飛び込んでくるその瞬間、その息をのむほどの美しくしさに出会い感動することが、五島観光の醍醐味なのではないでしょうか。

 この夏もたくさんの人達が五島を訪れています。みなさんも五島を訪れた友人やお客さんを案内して、島内を回る機会も多いと思います。その際、新しくできた、きれいで走りやすいトンネルだらけの道路を使うのは如何なものでしょうか? 急いで回るには便利で時間も短縮できますが、あの道を通ると、海がほとんど見えないんですよね〜。ちょっと遠回りにはなりますが、うねうねと海沿いを走る旧道が、絶対お勧めです。せっかくこんなに美しい海や、ビーチや海岸線、入り江がたくさんあるというのに・・・・本当に、地元の人間が何回観ても感動的な美しい景色がごろごろしているって言うのに、なんてもったいないことをしているのだろうとつくづく思います。

 五島市になり、新しい市議会も動き始め、9月には市長選挙も行われるようです。どうぞ五島市の舵取りをする方々には、五島の自然を壊すことのないよう、逆にもっともっと美しくして、後生まで残して頂けるよう、切にお願いしたいと思います。

 都会に住んでいながら何度も五島を訪れるという人の話を聞きました。「五島は、変に観光地化していないところが素晴らしい。日本中どこにでもあるような都会的な建物はうんざりするから建てないでほしい。美しい自然が昔のままにあって、空気がきれいで水もうまい、当然食べ物もうまい。山も木も土も花も美しい。夏になると、五島の蝉時雨を聞きながら、青く澄んだ海で遊びたいと思って何度も五島に来るのです。」
 これからの五島観光の方向性を示してくれる、貴重な意見だと思います。
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3,お金の流2004.8.25

五島市が豊かになるためには、当然お金の流れというものは重要です。以前、「島野菜」という提案をさせていただきましたときにも書かせていただいたのですが、今、皆さんが読んでくださっています、この「アイランドプレス」が折り込まれている長崎新聞は、深夜多くの野菜や雑貨などとともに、貨物船に乗せられこの島へと入って来ています。

 しかし、多くのものを私たちの福江島に運び込んでくれたこの貨物船は、福江島を出港するときには、ほぼ空の状態であると聞いたことがあります。これはどういうことでしょう・・・・・。つまり物の流れが一方通行になっているのです。一方的に物が入ってくるばかりということは、当然お金の流れは、福江島から出るばかりになっているのです。実際、今現在島内で消費されている野菜のうち、島内で生産されているものは約2割程度であるとの調査結果も出ています。
 では、どうすればよいのでしょうか。当然、五島市の今後の産業の柱となるべきものは、一次産業になることは間違いないのですが、地産地消も含め、物の流れ、お金の流れを一から見直す必要がありそうです。
 今後は、地方交付税・離島振興法による補助金の削減も考えられ、これまでこの島を支えてきた公共事業も今までのように行われなくなるということは、皆さんご承知のことでしょう。しかも県の職員さんたちが島内から大幅に人員削減される話も出ています。つまり、これまで市外から、市内へ入ってきていたお金の流れが変わってくるということです。

  これから先、五島市が自立・独立して生き残るには、非常に都合の良い考え方ですが、五島市内のお金は、市から外には極力出さないようにして、市内で消費し還流させ、市外から外貨を稼ぐということです。そして無駄なお金は使わない。単純なことですが、簡単なことではありません。そのためには、これまでの産業構造をまるっきり変えてしまうということも必要になります。しかし、やらなければならないということは、明らかなのです。
 次週も、皆さんと一緒になって具体的に考えて生きたいと思いますので、是非皆さんからの前向きなご意見・ご提案をお待ちしています。
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4,外貨2004.8.27

 五島市の今後を考えるとき、一次産業を抜きには考えられません。これまで一次産業とともにこの島の経済を支えてきた公共事業も、ご存知のように今後大幅な縮小が予想されています。また観光に関しても、今年の夏をみてみてもかなり苦戦しているようです。実際に、交通費が高くて、五島に行くくらいなら、もっと安い料金で海外にでも行けるという都会の方たちの話も聞いたことがあります。この夏にも全日空の大阪直行便が就航され、非常に便利ではありましたものの、往復で一人5万円以上かかりますので、やはりかなりの高額なのかもしれません。(予断になりますが、この五島・大阪直行便の利用促進のために、五島市民には往復で一人5千円の補助が出たそうですが、今回このような補助金があるということが、よく知られてなかったように思います。私もこの便を利用してみたのですが、チケットを買う際にも話もありませんでしたし、空港の方たちも誰も教えていただけませんでした。利用客を増やしがたいための施策なのでしょうから、魅力ある宣伝も考えていただければよかったのではないかと思います。)

 さて、一次産業に話を戻しますが、前回もお話しましたが、五島市を発展させるためには、お金の流れを考え直す必要があります。つまり五島市内のお金を市から外には極力出さないようにして、市内で消費し還流させ、市外から外貨を稼ぐということです。そして無駄なお金は使わない。簡単に書いていますが、これは非常に困難なことです。
 この中で、外貨を稼ぐということは、この島の中で何かを生み出し、それを島の外に販売し、収入を得るということです。この中心に考えられるのは、当然、農業・漁業、つまり一次産業というわけです。何もないところから、ものを生み出す産業というものが、実際には一番大切なものであり、考えるとすごいことだと思います。
 次回も、この一次産業について、もっと掘り下げて考えて生きたいと思います。皆さんからのアイデア・ご提案も是非よろしくお願いいたします。
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5,島野菜(しまやさい)2004.9.2

 五島市の今後を考えるときに、一次産業の活性化ということが鍵を握っているということは言うまでもありません。では、一次産業の活性化を推進するためには、何が必要なのでしょうか。

 一次産業の活性化、つまり五島市の農業や漁業の活性化ということですが、これらの産物のブランド化、地産地消の推進、島外ルートへの流通の確保ということは当然考えていかなければなりません。しかし、そのためにはまず五島の環境の改善というものを考えていかなければなりません。ここでいう、環境という言葉には、二つの意味合いがあります。それは、「自然環境の改善」と、「生活環境の改善」という意味合いです。これは島全体の自然環境の流れから、人の生きていくうえでの環境までも含めてすべてを考え直す必要があるのではないかということにつながります。

 これらはそれぞれが大きなテーマですので、今後、それぞれ細かく考えて生きたいと思いますが、堆肥処理施設の話もあるみたいですし、五島市全体の土作りも含めて、島全体の自然環境を考えていくことが、農業や漁業の産物のブランド化にもつながり、販売ルートにも大きく影響を与えることになるのではないかと思います。

 また、一次産業というものは、非常に大きなリスクを背負っています。台風や大雨、日照の問題など、自然というものが大きくかかわってきますし、生き物が相手ですので、動物にしても、植物にしても病気などの心配もあります。それに、今年のサンマやキャベツのように、取れすぎても利益が上がらないので、もうとらないとか、捨てるとか、信じられないようなこともあります。当然、理想を持った人たちが、農業や漁業で十分に豊かな生活を確保できるということが保障される必要があります。そういうことも含めての、生活環境なのだろうと思います。

 最後に、以前アイランドプレスが提案した、五島の野菜ブランド「島野菜」の定義をおさらいしたいと思います。

 『島野菜』とは・・・・
@この島の中で育まれた野菜であること。
Aこの島の元気な土の上で育まれた野菜であること。
B健康な空気のもと育まれた野菜であること。
Cきれいな水を吸って育まれた野菜であること。
D太陽をいっぱいに浴びた旬の野菜であること。
E無農薬で作られた野菜であること。

 次回は、一次産業の活性化のための「自然環境の改善」について考えて生きたいと思います。
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6,一次産業2004.9.10

 一次産業の活性化には、「自然環境の改善」と「生活環境の改善」という二つの環境の改善が必要であるということを前回述べさせていただきました。

 まずは「自然環境の改善」というものについて考えてみたいと思います。

 使いされた言葉ですが、五島市の一次産業の活性化にも「ブランド力」が必要です。ただし、いまどきどこを見てもブランド物ばかり。五島の産物に、他の地域の「ブランド」との差別化が必要になります。では、五島と他の地域との違いはどこにあるでしょうか。それは、この島が「離島」であるということです。以前アイランドプレスでは、「島野菜」というものを提案させていただいたことがありました。(このシリーズは、17週にわたって農業に関するいろいろな提案をさせていただきましたが、その中の一文を紹介させていただきます。)

この島は、周囲を海に囲まれ、一番近い本土まででも100キロ離れた、他の地域から閉ざされた地域といえます。ですからこの島の中で、自然・環境と共生する島作りを行うことにより、またそのことを島の内外に強くアピールすることにより、『島野菜』と言うもののブランド力が強まるのです。
 本土から遠く離れた離島で、山を大切にし、木々を育成し、コンクリートで固められた溝のような川ではなく、小さな虫や魚や両生類が自然に生態系を作り、きれいな水を湛えた自然な川が流れ、大自然と共生をしているような島がある。そのような島で、太陽の光を燦燦と浴びた旬の野菜が育っている。すばらしいとは思いませんか。

そこで、『島野菜』の定義として次のような項目を入れさせていただきました。
A「この島の元気な土の上で育まれた野菜であること」
B「健康な空気のもと育まれた野菜であること。」
C「きれいな水を吸って育まれた野菜であること。」

 これらのことは、考えてすぐにできることではありません。しかし、この五島・福江島が美しい島であると都会の人に感じていただいているうちに、他の地域よりも先んじて自然・環境と共生する島作りに取り掛かる必要があります。これは大変な努力や、大きな改革も必要になってくるのかもしれませんが、今後、この島の市町村合併も踏まえ、この島が自立・独立できるようにするためにも絶対に必要になってくることだと考えています。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
というものでした。この考え方は、農業だけでなく、漁業にも畜産業にも、すべての一次産業に共通したものだといえます。そこで、次回からは、自然・環境と共存できるような島にするための具体的な方策を考えて行きたいと思います。
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7,お便り2004.9.16

 先日、「アイランドプレス」宛に、下記のようなメールをいただきました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 『農業は本当に大切なものですね!しかし今の農業で食べて行けるか?と言えば行けません!特に野菜では無農薬とかっこ良く言いますが虫が食べて葉に穴が開く値は上がりません!農薬かけて美しい値は上がります。もっと地元の野菜を買うべきです。畑を真四角に整備させられて(崎山)緑の木々は消え雨が降れば土は海に流れだし農業に見掛けだけの畑は要りませんよね?もっと行政は農業に何が必要か考えるべきだと思います。五島の気象条件にあった作物=ブランド(昔は干薯)経営が安定しない限り駄目です。でも大好きな仕事です。』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(編集部より)
メールありがとうございました。確かに、現状ではおっしゃられる通りなのでしょうね。
 たとえば、流通にしても、型のそろった見た目がきれいな野菜が高く取引され、型の崩れたものなどはくず同然の扱いを受けているようにも聞きます。ただ、消費者の目線から見たらどうでしょうか・・・。曲がったキュウリや、大きさがばらばらな真っ赤なトマト、土がついたまま、ばらばらに置かれた野菜がおいしそうと思うのは、私だけでしょうか。流通の仕方にも問題があるのかもしれませんね。もっともっと、工夫も必要なのかもしれません。
 また、確かに島内で消費されている野菜のうち、地元で取れた野菜の比率は、非常に低かったように聞いています。本当に、おいしい地元の野菜が、もっともっとたくさん消費されるようになると良いですね。私たちも願っています。
 それと、書かれてある崎山地区の話ですが、私は農業をやっている人間ではありませんので、いろいろな方たちからお話だけは伺いましたが、いろいろな先入観を抜きにして、下から見上げても、上から眺めてみても、ちょっと異様な感じは受けますね。
 でも、農業が大好きなんですね。ちょっとうらやましいですね。自分の職業に誇りと愛情を持てるということはすごいことだと思います。是非是非、五島の農業を素晴らしいものにして行って下さい。次回は是非、行政の方たちに対して、農業に関してどのようなことを考えてほしいのかということ、ご提案、要望などもお願いします。またメールお待ちしています。ありがとうございました。

また、崎山町の方からも次のようなメールをいただきました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『私も農業をしてますので「五島市を考えよう!」は興味を持ってます。たかが農業されど農業大変悩みます。我が家にも後継者がおりますが楽しみながら農業をしてほしいのですが…(^-^*)
・・・・・・・・・・・・・・・・
(編集部より)
最初のメールもそうなのですが、皆さん農業が大好きなんですね。
 これからのたくさんの後継者の方たちのためにも、楽しみながらできる農業ができると良いですね。いろいろ大変なこともたくさんあると思いますが、すばらしい仕事だと思います。編集部のメンバーも、もっともっと勉強して、皆さんと一緒に考えていければと思います。皆さんからのご意見、ご提案をもっともっとお待ちしています。

 次回からは、自然・環境と共存できるような島にするための具体的な方策を考えて生きたいと思います。
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8,自然共存2004.10.1

自然・環境と共存できるような島にするための具体的な方策についてですが、「島野菜」のときに提案した次の三つが基本になるのではないかと考えます。まずは@元気な土作りそして、Aおいしい水作り、最後に、B健康な空気作りです。
 この中から、まずは元気な土作りに関して考えて行きたいと思います。

ごみの収集方法が細分化され、市民の皆さんも、ごみの分別にはずいぶんと手馴れてきたのではないでしょうか。ただ、ごみ分別収集が始まった後、ごみ焼却炉が変更になり、私個人としては何がなんだかよくわからない状況になっていますが、とりあえずダイオキシンなどは発生しにくくはなったようです。以前はごみ焼却後の灰にもダイオキシンが含まれているのではないかとの心配もありましたので、その点は改善されているようです。
 また、生ゴミを収集して堆肥に変える車=コンポスト号=の提案もさせていただいていましたが、現在、行政のほうで、堆肥センターを作る計画が着々と進んでいると聞き及びます。これは非常に面白い計画で、いろいろなことに良い影響を与えるのではないかと考えられます。

 まず、当然ごみの量を減らすことができます。生ゴミは大量の水分を含んでいて、ごみの焼却温度を下げると言われています。一般的に焼却温度が下がるとダイオキシンが発生しやすくなるといわれています。ですから温度が下がると、油を大量に補充して火力を強くして焼却しないといけません。
 また、生ゴミから作られた堆肥は、化学肥料の代わりに肥料に使ったり、土にしたりということも考えられるでしょう。一般の方たちの家庭菜園などにも使っていただくと良いかもしれません。一般家庭から出る生ゴミだけでなく、業者からも野菜や、余った魚、加工後のくず野菜や魚貝類等、剪定した木の枝、公園や道路の雑草なども有効に使えるのではないでしょうか。ですから、このような事業は、是非成功させていただければと考えます。ただ、分別に関しては、また少し見直しがされるかもしれませんね。
 あとは放置されている廃車、草薮の中や、山の谷間などの電化製品や産業廃棄物、ゴミ類の不法投棄がなかなかなくならないように思います。行政の方たちの努力や、一般の方たちの意識の持ち方で、以前からするとずいぶんと減ったようにも思いますが、もう少しでしょうか。(このことに関しては特に、家電リサイクル法が実施されて以降、全国的に不法投棄が急増し、回収量も経済産業省の予想の2割にとどまり、リサイクル工場には廃家電が集まらないなどの問題が起きているそうです。欧州のように、メーカーに回収処理を義務付け、メーカーの生産の見直しを促すことも必要だと私たちは考えています。)これらの中から徐々にオイルや廃液が流れ、この島の土の中に染み込んでいっているのを想像すると、早くなくなればよいと思いますね。
次回は、「おいしい水づくり」について考えてみたいと思います。皆さんからのご意見やご提案もよろしくお願いいたします。
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9,河川2004.10.2

北海道・襟裳岬の漁協の奥さん達が、自分達人間が100年の間に壊してきた海岸や海を、これから100年かけて復元しようという運動を始めました。そして、自分たちの手で山に木を植え、川を育て、やがて豊かな海を取り戻しつつあるということです。
 この話しは、何度もテレビや雑誌等でも紹介され、この運動は全国各地に広がっているという話をよく耳にするようになりました。海をきれいにするために、先ず山に木を植え、また川を豊かにするという発想は、本当にすばらしいと思います。
 近年は、行政や土木関係者の努力のおかげで、河川工事も自然を取り入れた形のものに大きく変わりつつあるようですが、以前は、洪水防止や安全のために川幅を広く取り、かつ直線的な河川の工事が行われてきました。こうした河川の形態の変化は、多くの生物の生態系に大きくかかわってくるといわれています。それは何故でしょう。

 まず、川が直線的に流れることによって、よどみがなくなります。すると、よどみや川の流れが穏やかな部分に生育するはずの微小生物が生活できなくなります。そして自然な形の生態系が作り出されにくくなります。
 直線になった川は流れが速く、微小生物は、川に留まることすら難しいでしょう。
 また、深くコンクリートで固め、高く堤防を持った川は、陸上生物や両生類と川とのつながりが断たれてしまいます。また水草も少なくなるでしょう。
 水草やよどみがなくなれば、昆虫や水中生物が卵を産み付ける場所がなくなります。
 そうやって、川に関わりを持つ生物の生態系が破壊されると、本来あるべき、川自体の持つ自浄作用がなくなります。
 その上、無造作に流される家庭排水、事業用排水によって、川は川でなくなり、コンクリートで固められた大きな溝となります。そして、ただ単に汚い水を集め、海に送るまでのドブとなってしまいます。

 そういえば、最近、カエルやカニの姿を見なくなったと感じませんか?メダカなんか、絶滅の恐れがあるなんていわれていますし、私も個人的に大好きな五島の白魚にも随分とお目にかかっていません。

今回は、川のことについて考えてみましたが、海についても同様のことが言えると思います。高い防波堤や、護岸工事等の持つ影響力は、思っているより大きいようです。また、今までのところ一次産業のことといっても、主に農業中心で考えていますが、この川・海・水といったことは、漁業にも直接かかわってきます。次回は、これらのことを踏まえ、すぐにでも実行に移さなければならない事柄を考えてみたいと思います。
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10,観光・シルバー産業2004.10.6

前回、川の流れについて紹介させていただきましたが、通常川というものはいくつもの県や市にまたがり流れているので、統一した考え方で川に対して取り組むことは難しいと考えられます。(一部、四国の四万十川など、特別に条例を設け取り組んでいるところを除けばですが)そこで、ここが離島だということが生きてきます。ここが離島であるというのは、普通に考えると大きなハンデなのですが、最大のメリットでもあると考えています。それはこの島が閉ざされた地域だからです。この島の中にある川は、当然ですがこの島の中で生まれ、そしてこの島の周りの海へと続いています。ですから川を美しく、自然にあふれる川にするという取り組みは、自然と周囲の海も含めた島全体のことを考えることにつながります。

そこで、五島市として今すぐにでも取り掛かっていただきたいことは、まず五島市全体の海の護岸工事や河川を近自然型工法のものに作り変えていただきたいということです。この事業には、とてつもなく膨大な資金と年月が必要になりますが、今後50年後100年後の五島市を考えた場合、必ず発展的に必要なものになってくると考えます。そして、この事業は一次産業だけでなく、いろいろな産業にも大きな影響を与えることになるでしょう。

 たとえば、観光産業もそのひとつです。旅行で五島を訪れた方たちの多くは、五島の自然を満喫したいと思ってくるはずです。ところが、海や川が、どこにでもあるようなコンクリートで固められた景色だとしたらどうでしょう。そこには感動は生まれにくいのではないでしょうか。ですから、これまで作られてきたものを崩し、これから再度、近自然型工法を生かした河川や護岸に作り変えていくのです。そうすることにより、生物も生活しやすくなり、植物も生き生きとしていくでしょう。本当は元の姿に戻すのが一番なのでしょうが、そんなことは不可能ですし、台風や洪水などの災害に対し、耐えうるものにしなければなりません。実際にここ30年ほどの護岸や河川工事のおかげで災害が少なくなったことは事実ですから。

 また、介護・シルバー産業はどうでしょう。私の知る限りでも、仕事を引退したら都会を離れ、Uターン・Jターン、Iターンして五島の大自然の中でゆったりと過ごしたいと考えられている方がかなりいますし、実際に移住してきこられた方たちも数多くいらっしゃいます。ですからこの島は自然がいっぱいでなければ話にならないのであり、非常に大切なことなのです。このシリーズの中でいつか紹介していきたいと思いますが、私たちは、この「アイランドプレス」の創刊当初から、五島を、都会で生活をしていた方たちが、大自然の中で海や土や緑に囲まれて、ゆっくりと余生を過ごすことができるような「五島を終の棲家に」という提案させていただいてきました。このような島を目指すためにも、これらの近自然型の工事は絶対に必要であると考えています。次回も、この続きを提案させていただきます。
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11,近自然型2004.10/14

前回は、五島を自然環境と共存する島にするために、『五島市全体の海の護岸工事や河川を近自然型工法のものに作り変えていただきたい』という提案をさせていただきました。そして、そのことによってさまざまな産業に影響を与えるということを説明させていただきましたが、今週もそれ以外の産業について考え生きたいと思います。

こういう事業で一番関係してくるのは、当然その工事を実際に実施していく土木・港湾・建設関係の業者さんたちでしょう。

この島の基幹産業は何ですかと聞かれたら、「公共事業です」と答えるくらいに、この島は地方交付税や離島振興法の恩恵にあずかり、地元の土木建築業者が公共事業を行っていたおかげでこの島に多額のお金を落とすことができました。しかし今後、大きな公共事業の計画はなく、護岸や港湾関係の事業も、もう工事するところがないとも聞き及びます。また、国の大きな政策の転換や資金不足によって、島内の土木・港湾・建設関係の業者さんたちは、非常に苦戦を強いられていると聞きます。本来であれば、もう少し緩やかな産業の転換が図られるべきだったのでしょうが、島内ではそうは行かなかったようでした。

 そこで今回の事業です。五島市全体の海の護岸工事や河川を近自然型工法のものに作り変えていくという事業は、当然のことながら今まで作ってきたものを一から再度、もっと複雑なものに作り変えようというわけですから、これまでよりもずっと資金も工事期間も必要となります。ですので、この島をエネルギーや、自動車の動力等も含めて、すべてを変えていくくらいの思い切った発想で、この島全体を『環境特区』に指定していただき、国から資金を出していただくように働きかけてみては如何でしょうか。このときには、合併債も利用する必要も出てくるかもしれません。

 これらの工事をいつもでもやっていくというわけには行かないのでしょうが、当然維持管理の必要は出てきますし、まったくなくなるというわけではないでしょう。そしてこのような事業をしばらく続けていきながら、島内での緩やかな産業の転換というものを考えていく必要はあると思います。

 また、このような事業を続けていくと、この島が日本全体の環境推進のパイロット地区になることにつながってきます。この島全体を日本全体の縮小版と考え、この島で自然環境と共存できることを示すことによって、同様の事業を日本全体に広げることができるような情報の発信源にもなることができるというわけです。そのための『環境特区』でもあるのです。
 次回は、このような運動が、今盛んに話題に上っている、五島のIT化、光ファイバーの話にも関連してくるということについて考えてみたいと思います。
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12,ネット環境2004.10.21

 五島市の計画として、福江島に光ファイバーを張り巡らせるような計画があると耳にします。確かに周辺地区まで光ファイバーを整備することによって、いろいろなことが可能になることでしょうし、非常に便利になってくると思います。

 介護保険がかなり浸透してきて、制度を利用する方たちも非常に増えてきましたが、周辺地区に一人で生活されている方たちも多くみられます。この方たちの連絡の手段の一つとして、また医療・生活管理にも利用することができるかもしれません。農業や漁業などの各産業にも利用できることも数多くあるでしょう。交通機関や、気象情報なども入手しやすくなるかもしれません。皆さんでいろいろ考えると、もっともっとたくさんの有益な利用方法が出てくることでしょう。確かに、現在でもネットの環境は整備されていますが、大容量の光ファイバーなどが島全体を網羅するということは、これまでよりも大きな可能性ができるということでしょう。そのことについても、またいつか考えて行きたいと思います。

 ただ、ネット環境もこれまでの物流同様、情報が島外から入ってくるだけという一方通行になる恐れもあります。つまり、本だって、CDだって、衣類だって、食品だって、お酒だって、何だってネットを開くと日本中、世界中の物があふれています。クリックひとつで物が簡単に購入でき、五島から外に出なくても2〜3日で、欲しいものがすぐに、安く手に入るのです。送料無料というサービスも当たり前のようです。
 ということは、情報や物は一方的に島の外から一方的に入ってきて、島からは一方的にお金が出て行くばかり。これまでと何ら変わりはないというか、もっと拍車がかかる恐れさえあります。結局、こちらから出す情報が何もなければ、高速・大容量のネット環境が整っても、よその地方やお店の情報を見るだけという、これまでよりも少し便利なテレビができる程度のようなものともいえるのかもしれません。

 情報を双方向にしていくために、この五島市が、島の外に発信する情報のネタを持たなければなりません。そこで、生きてくるのが、ずっとお話している近自然型工法の話です。五島市を『環境特区』に指定していただき、五島市全体の海の護岸工事や河川を近自然型工法のものに作り変える。そしてこの島を日本全体の環境推進のパイロット地区と考えていただく。この島全体を日本全体の縮小版と考え、この島で自然環境と共存できることを示すことによって、同様の事業を日本全体に広げることができるような情報の発信源にもなることができるというわけです。
 そうして、この島から環境に関する情報を発信することができれば、人は集まってくるでしょうし、新たな産業に発展する可能性も多く秘めています。
 また、そういう島で採れた農産物や魚介類にもブランド効果が高まり、それもひとつの五島市発の情報になるというわけです。いかがでしょうか。このようなネット環境は、ハード面とソフト面を同時に進めることも考えていかなければならないでしょう。そういう意味でも、これらの事業は、五島市にとって、是非必要なことであると考えられます。
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13,川掃除2004.10.29

 ずいぶん前ですが、お昼に「笑っていいとも!」という番組を見ていましたら、年配の女優さんがゲストで出ていまして、「先日、五島列島の福江というところに行ってきました。」と話されていました。そして、「とっても景色がきれいなところだったんですけど、あちこちに、ゴミや壊れた車が積んであったのが残念でしたね。」とのことでした。いくら景色がきれいでも、確かにこれでは興ざめかもしれません。

 以前、『五島市は離島という閉ざされた地域だから、この島の中の土や水や空気を考えることで、他の地域よりもアピールできる』というような話をさせていただきました。しかし、逆に考えると、非常に恐ろしいことになってしまいます。
 多くの電化製品や、産業廃棄物や、廃棄された車や鉄くずがあちこちに積まれている島。そんな島が、本土から遠く離れた所にあるとしたら。そのような島には誰も集まってはこないでしょう。来るとしたら日本全国の産業廃棄物かもしれません。

 少し前になりますが、瀬戸内海の豊島という島に、産業廃棄物が大量に不法投棄された問題が話題になりました。あの島は、もともと豊島石の加工技術を基盤とした石材加工業が盛んで、古来から稲作が盛んで豊かな島であることから「豊島」と名づけられたくらいに農・水産物の供給地としても重要な地位を占め、また福祉施設が充実していたため「福祉の島」とも呼ばれる、豊かで自然なときが流れる良い島だったと聞いています。

 五島の場合は、そこまでひどいことはないのでしょうけど、都会から訪れた方たちからすると、大自然がいっぱいのイメージで訪れて、確かにその通り自然がいっぱいだったのが、美しい景色の中に突如ゴミ等が山積みされた様子を見てしまうと、そのアンバランスさが強烈に印象に残ってしまうのかもしれません。そして、そういう噂は尾ひれがついて広がりますので、早め、早めの対処が必要でしょう。
 ただ、行政の方たちの努力もあり、山積みされたゴミや鉄くず等に関しては、少しずつ改善されているところもあるようですので、これももう少しなのでしょうか。

 以前、湧き水で有名な場所を教えていただき、家族で水を汲みに行ったことがあります。結構な山の中だったのですが、そこには湧き水を組みにこられた方たちが行列を作り、それぞれが何本もの水を入れるタンクを持って来ていていました。その頃は特に雨が少なかったせいもあり水量が少なく、とてもじゃないけど自分たちの番が回ってくるまで待ってられないと、お弁当を食べ、散歩をして帰ってきたことがあります。ところが、その水汲み場の周辺には、冷蔵庫や洗濯機などの電化製品や、不燃物のごみなどがあちらこちらに捨てられてあったのです。あのごみの中のものも、当然、この湧き水の中にもしみているんだろうなと思うと、ちょっとがっかりしたものでした。湧き水というのは、何層もの土や砂利などで濾過されて、きれいな水になっているのでしょうが、その土自体も汚染されているとしたらどうでしょう。このような問題も、早急に取り組む必要があると考えます。

 以前は、この島の中にも川遊びができる場所がたくさんあり、島の人たちも川と接する機会がたくさんあったように思います。そのような場所が、どんどんなくなっているようには思いませんか?確かに、河川の整備によって、水害等の災害は極端に少なくなってきました。しかし、近自然型の河川工事等をもっともっと発展させ、自然と人とが、今よりも身近になることも大切なのではないでしょうか。そうすることによって、私たち島民の、川や水に対する意識もまだまだ変わってくるような気がします。

 最後に、9月26日に行われた、「平成16年度第2回ゴミゼロ大作戦」をご紹介いたします。この事業は、福江商工会議所青年部の主催で平成9年から継続して行われているものです。今回は、開田付近から大園寺公園付近の間の福江川で実施されトラック2台分のゴミを回収したとのことでした。この事業は今年2回目で、5月にも自転車2台を含む約300Kgのゴミを回収したということですので、ここ4ヶ月でこれだけのゴミが捨てられていたということでしょうか。
 こうした、この島からゴミをなくそうという市民の活動が、いつしか市民の意識を変化させ、島民全体の環境に対する運動に発展していけば、島全体が変わっていくのかもしれません。
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14,空気2004.11.5

 今週は、自然・環境と共存できるような島にするための具体的な方策の3番目に提示させていただきました、『健康な空気作り』について考えてみようと思います。

 五島では、地球温暖化や酸性雨の問題・オゾンホールの問題とは関係ないかというと、当然そんなことはありません。地球温暖化やオゾンの問題だけではなく、皆さんもご存知のとおり、この島の中でも酸性雨のデータが出ているのです。
 これらの問題は、地球規模で一緒になって取り組んでいかなければならない問題です。特に、自然・環境をアピールしようとする五島市では、他よりも先に取り組んでいくことが大切です。

 たとえば島民にとって、車は必要不可欠なものですが、この車の動力の変換を世界に先んじて行っていくというのはどうでしょう。まずディーゼル車を廃止し、その後ガソリン車も廃止していく。その代わりに、今後主体となっていく低公害車、燃料電池自動車への変換をいち早く行う。これを島全体で行うというということは、情報の発信源としてもかなりのアピール力があります。私たちがこのことを考え始めたのが約10年前。当時は、かなり過激な意見と捉えられていました。今でもちょっと過激な感じがするかもしれませんが、実際に東京都では、ディーゼルトラックを締め出したり、燃料電池バスを走らせたりという取り組みが始まっています。現在のバスは、低床・低公害・低騒音が合言葉になっているほどです。そして近い将来は、世界中でこういう動きが間違いなく始まるのです。決して、突飛な考えではないはずです。113日から東京では、『東京モーターショー』が開催されています。この中でこれから中心になる車や、最新技術などを各社競うように発表していますが、そのほとんどが「安全と環境」をテーマにすえています。乗用車は当たり前で、今後は商用車も同様のものになり、福祉車両もアイディア豊かなものが数多く発表されているようです。このような車・エネルギーの変換実験事業をメーカーの協力を得て、全国に先んじて取り組んでいく。協力を頂く市民には、『環境特区』として、国から研究予算を頂き、車の購入の補助金を支給したり、税金を安くするという方法も考える必要があると思います。

岐宿町でも風力発電が行われていますが、化石燃料を燃やすような発電でなく、風力も含め、ソーラー発電やバイオマス、小規模の水力発電、波力、潮力・水素エネルギーやごみ焼却余熱等の新しいエネルギーの導入を積極的に進めることも有効だと思います。
 また、自動車の動力エネルギーとしても重要となる水素も必要となりますので、これらを効率よく、クリーンに安全に作り出すシステムの構築も必要です。このような島全体を支えるエネルギーも含め、これまでのような化石燃料を必要としないような島創りというものをトータル的に考えていく必要があると思います。ですので、重油を注入しないと動かせないような、ごみ焼却炉というものも、早めに見直していく必要があるのでしょう。このような活動にいち早く取り組むということが、五島市の今後につながっていくのではないでしょうか。
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15,島野菜(2)2004.11.11

前回まで、一次産業の活性化、つまり五島市の農業や漁業の活性化のために必要な「自然環境の改善」ということについていろいろ考えてまいりました。これらのことは、五島の米や野菜や牛肉、魚介類などの産物のブランド力を高めるための第一歩につながります。

以前アイランドプレスでご提案申し上げた、『島野菜』の定義をおさらいしたいと思います。
『島野菜』とは・・・・
@この島の中で育まれた野菜であること。
Aこの島の元気な土の上で育まれた野菜であること。
B健康な空気のもと育まれた野菜であること。
Cきれいな水を吸って育まれた野菜であること。
D太陽をいっぱいに浴びた旬の野菜であること。
E無農薬で作られた野菜であること。

このなかのAとB,Cについて、先週まで考えさせていただいたのですが、そのほかの@、D、Eというものも非常に重要になってきます。
 以前も申し上げましたが、これらについても、ざっとおさらいをしてみたいと思います。

まずは、@の「この島の中で育まれた野菜であること。」についてです。
 この島は美しい自然と環境がいっぱいです。しかし“この島が美しい自然・すばらしい環境に囲まれている”という事は、私たちのようにこの島に長年住んでいる人たちよりも、都会に住み、遠くからこの島を見ている人たちのほうがより感じているようです。
 このように福江島を良いイメージで抱いてくださっている都会の人たちが、この島の美しい自然・環境の中で育まれ、太陽の光を燦燦と浴びた健康な旬の野菜があるとしたら、少し値段が高くなったとしても食べてみたいとは思わないものでしょうか。(本当は、今でもあるのでしょうけど島内外でイメージ付けができてないだけかもしれません)つまり、私たちはこの福江島で育まれた『島野菜』というものを、そのまま付加価値とできると考えたわけです。

どうですか、こんな野菜ならこの島の中で生活している皆さんも食べたいとは思いませんか? それは地産地消の考えにつながってくると思います。このような発想からこの『島野菜』というテーマは生まれました。
 ですから『島野菜』は、どこでもない、この福江島で育っているということが絶対条件となります。ですから定義の一番初めに「この島の中で育まれた野菜であること」という条件を挙げさせていただいたわけです。 つまり福江島・五島というもの自体をブランド化してしまおうというわけです。この五島市そのものをブランド化することができるかどうかということが、まずは五島市の一次産業の活性化のキーワードになってくるのではないかと思います。
 次週は、Dの「太陽をいっぱいに浴びた旬の野菜であること」についてもおさらいしてみたいと思います。
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16,旬野菜2004.11.18

今週は、『島野菜』の定義の中の5番目に紹介させていただいた「太陽をいっぱいに浴びた旬の野菜であること」についてのおさらいをしてみたいと思います。

「となりのトトロ」という映画で、メイという女の子が、おばあちゃんの畑から採れた野菜にかぶりつくシーンがあります。 夏の太陽の光を燦燦と浴びた瑞々しく熟れたトマトやきゅうり、トウモロコシを、メイとさつきと、おばあちゃんが汗を流しながらもぎとり、きれいな小川にさらし、きらきらと光るきゅうりにメイがかぶりつく・・・見ているだけで本当においしそうで、もうそれだけで最高のご馳走のように思えました。

 今回取り上げさせていただきます「太陽をいっぱいに浴びた旬の野菜であること」という5番目の定義は、このような印象の残るイメージもあったのですが、実はたまたまこの島を訪れた女性たちの話しから思いつきました。
 その女性たちの話とは、アスパラガスを特産としているヨーロッパのある地方があり、ここでは旬の時期以外はアスパラガスを採る事を禁じているというのです。この地方にはアスパラガスを使ったこの地方独自の料理があり、アスパラガスが解禁になると世界中からこの料理を食べるためにこの地方に人が集まり、すごい賑わいになるということでした。北海道にも、これに影響を受けている地方があり、ホワイトアスパラを使った料理が評判になっているということでした。

 皆さんも知っていると思いますが、旬の野菜は、ハウスものに比べて栄養価が高くなります。また露地栽培のものは、太陽の光を浴びて薬品等も分解され、人体にもより安心になるというデータもあります。そのことも確かに重要なのですが、それよりも“おいしそう・・・”ということが、私にとっては重要だと考えています。
 やっぱりトマトは、畑からもぎたてたばかりのものを、がぶりとかぶりつくのが一番おいしいとは思いませんか?
 その季節、季節には、その時期だからこそおいしい味というものがあります。ですから私たちは、太陽をいっぱいに浴びた露地栽培で、また旬の時期に採れたものだけを『島野菜』と呼ぶということを定義の中に入れさせていただきました。今後は、この『島野菜』を使った、この島独自の料理というものも考えていけたらと考えています。

またこれは旬の魚にもいえることです。プリプリに太ったキビナは最高においしく、どんな料理でもいけます。いり焼きをはじめとして、刺身や握りずしでも良いですし、塩焼きでも田楽でもおいしい。天ぷらにしてもいけますし、押し寿司にしても最高です。酢でしめても酒の肴になりますし、一夜干しにしても本当においしく食べられます。他にも、寒ブリや葉鰹、ゴベにサバ、アラに鯛、アラカブと、旬の魚は本当においしいものです。個人的には、この春こそは、久しぶりに五島で獲れた白魚の吸い物を食べてみたいと思う今日この頃です。
 五島産の旬の食べ物を再確認して見ませんか。最高ですよ!!
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17,無農薬2004.11.25
 今週は、『島野菜』の定義の最後に上げさせていただきました6番目の「無農薬で作られた野菜であること」についてのおさらいをしてみたいと思います。

 人類は、人工的に作物を作り出す農業というものを発明しました。そして化学肥料や、農薬を開発することにより、多くの作物をより確実に収穫することを可能にし、また、ビニールハウスなども利用することにより、季節の野菜を一年中収穫することもできるようになりました。それは、すごいことだとは思うのですが、この島で、他の土地と同じ物を作っていたのでは、この島の農業はジリ貧になるということは、これまでの現状で明らかになっています。
 確かに、農薬や化学肥料を使わないと、その仕事量たるや非常に大変なると言うことはわかっています。ただ、それがこの『島野菜』というブランドの大切な付加価値なのです。科学的なものは一切使わず、その代わりに、手をかけ、その野菜のおいしさを引き出す、イメージを高める、その付加価値を十分に生かしたものが『島野菜』であると考えています。

 自然に逆らい、季節を無視して作物を育てるためには、農薬や化学肥料が必要になります。近年、人類はそれだけであき足らず、作物に遺伝子操作まで加えるようになりました。虫がつかない野菜・・・そんなもの、人間だって食べたくないですよね。この島の中では、絶対にそのようなものは作らないで欲しいです。
 現在、厚生省が許可している遺伝子組み替え作物は、「除草剤耐性」「害虫抵抗性」「日持ち向上性」の3種類です。

@「除草剤耐性」とは、特定の農薬に耐性を持たせていて、その農薬を使用していれば、周りの雑草は枯れても、作物は枯れなくなっています。
 しかし、先日の東京都の調査では、この除草剤耐性の雑草が数多く見つかったとのことでした。花粉の交配などで、自然界の中で遺伝子操作が行われ始めているということでしょうか。雑草は、刈られても刈られても生き延びてきました。人間の浅はかな知恵では、追いつかない強さがあるのかもしれません。
 今後は、これまでの除草剤耐性のものでは雑草が枯れなくなりますので、より強い「除草剤耐性」の作物を作らなければならなくなります。しかし、当然雑草はそれにも対応してくるのでしょうから、どんどん強くしていくしかないでしょう。想像するだけで恐ろしいです。

A「害虫抵抗性」とは、作物の細胞から殺虫毒素が作られるようにします。その作物を食べた害虫(てんとう虫、蝶の幼虫など)は死んでしまいます。
毒素が含まれている作物というものが人間に対しても果たして安全なのか。その結論はまだ出ていないように聞いています。
また、自然界の生態系や食物連鎖にも影響を及ぼす可能性があります。これらの「害虫抵抗性」の作物は、すべての生物を死滅させることができるわけではありません。これらに対応できる種類のものが異常繁殖することもありうるのでしょうし、これらの虫を食べていた生物は、餌がなくなってしまうことだって考えられます。その時点で、自然界の生態系は、大きく崩されることになるのだと思います。

B「日持ち向上性」とは、作物が収穫後も腐らない、痛まないようにします。トマトを例にしますと、いつまでも固く、腐らないトマトが作れます。

 この遺伝子操作が行われ、このトマトが流通された当初、かなりの人の健康被害が公表され、あまり流通はされてないようにも聞きますが、実際に抗生物質に耐性を持っているということや、アレルギーが多く発現しているといった報告もあります。因みに、このトマトは「フランケンシュタイントマト」と呼ばれ、アメリカでも大規模な反対運動が繰り広げられたと聞いています。
 アメリカでは、さらにいろんな耐性・抵抗性・向上性をもった遺伝子組み替え作物が許可され、市場に出回っているようですが、このような作物が五島に入ってくるのは、絶対に阻止する必要があります。もし、この島の中で遺伝子操作された作物が育成されるようなことがあったら、この島の中の生態系事態に大きく影響を及ぼす可能性があります。それはこの島が遠く離れた離島であるということも大きく関係してきます。

 五島では、「遺伝子操作作物を持たず、作らず、持ち込ませずと、核兵器並みの三原則を作ってほしいと冗談抜きで思います。

 また、以前狂牛病が話題になりました。その原因特定のためにいろいろなことが言われていますが、その中で一番に上げられたのが、「肉骨粉」でした。なんと草食動物の牛の餌に、こともあろうに動物の肉、それも牛の肉や骨を混ぜていたとは。それじゃ共食いじゃないですか。こんなことをやっていては、何があっても不思議じゃないと思います。
 そして農薬や化学薬品を使用するということは、薬品等が土や地下水の中にも浸透していきます。と言うことは当然、自然環境にも大きな影響を及ぼします。

 この島を、環境と共存する島にするためには、自然というものを大切にしていくということは重要です。その自然環境を守るためにも、極力化学肥料や農薬の使用量を減らす。遺伝子操作を行った作物を作らないということが必要です。そしてそのような島になってこそ、『島野菜』のブランド力が一層強固となるのです。
 逆に言えば、それぐらい徹底しないとブランドしては、役に立たないということも言えます。また、島の自然環境の育成を図るということは、農業だけでなく、当然漁業を含めた一次産業全体に関ってくるのです。このような島を作っていくことこそが、農作物、畜産、魚介類すべてに対する、五島のブランドになりうるからです。

  さて、これまで一次産業の活性化に必要と紹介させて頂いた二つの環境の改善のうち、「自然環境の改善」について、細かく紹介させていただきました。次回は、もうひとつの「生活環境の改善」について考えて行きたいと思います。皆さんからのご意見、ご提案も是非よろしくお願いいたします。
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番外・・合併半年(2004年12月6日)

さて合併ですが、現在、具体的に合併のせいということは挙げにくいとは思いますが、この景気の悪さを合併にぶつける人たちは多いと思います。

特に一部の人たちは、合併をすると、工事も多くなり、仕事増えると思っていた人たちも多いのではないでしょうか。

工事に関してみれば、合併直前に、駆け込み工事を各町が実施していました。

また、いきなり職員を増やすということもやっていたようでした。
これも今になると、かなりの圧迫を財政に与え、痛いでしょうね。

後考えられるといったら、
まず、五島支庁など県の機関の大幅縮小による人口減少は考えられるでしょう。
この人たちは、この島の中では、言い方は悪いですが、富裕層に当たると考えられます。
この方たちがごっそり抜けるということは、島内でかなりの購買力が落ちるということは仕方の無いことでしょう。
また、今後は小学校・中学校・高校が合併しやすくなりますので、これらの公務員の方たちがかなり減少していくでしょう。

これから先は、議員減らし、市の職員を減らすことにより、支出を減らすことは当然考えられていくことでしょうが、
今後、島内で極端に仕事がなくなっていくことは覚悟をしなければなりません。
島内人口がどんどん少なくなるでしょうね。

これらの一番の原因になっていることは、何のために、誰のために、いつの時期に合併をするのかという、目的意識を合併に対して持っていなかったということではないかと考えます。
 結局いつまでに、どんなことをしなければならないのかということがないが為に、ただなんとなく、不平ばかりを言って半年が過ぎてしまった。10年というタイムリミットがあるということを、みんなが意識付けできていなかったということだと思います。10年後には、自分たちの財政だけで、島を運営しなければならないということが認識できてない。だから時間がないということに気がつかない。

18,生活改善2004.12.16

五島市の今後を考えるときに、一次産業の活性化ということが鍵を握っているということは言うまでもなく、この一次産業の活性化を推進するためには、「自然環境の改善」と、「生活環境の改善」という二つの《環境の改善》が必要です。そして前回まで、「自然環境の改善」ということについて、『島野菜』という具体例を挙げながら、五島市の一次産業のブランド力も含めて考えてまいりました。

今週は、もうひとつの「生活環境の改善」について考えて行きたいと思います。

一次産業というものは、非常に大きなリスクを背負っています。台風や大雨、日照の問題など、自然というものが大きくかかわってきますし、生き物が相手ですので、動物にしても、植物にしても病気などの心配もあります。また、取れすぎることにより値が下がり、逆に利益が上がらないというような信じられないこともあるようです。当然、理想を持った人たちが、農業や漁業で十分に豊かな生活を確保できるということが保障される必要があります。そしてこのような理想をもって育成したブランド品は、その他のものよりも多少値段が高く設定されることも考えなければなりませんので、それらの流通のことも考えていかなければならないでしょう。そういうことも含めての生活環境なのだろうと思います。

 また、併せて五島市が以前から計画をしている、生ゴミの堆肥化も含めた島内の循環型社会の育成も具体的に考えなければならないでしょう。物やゴミ、自然環境も含めての生活改善という意味合いもあると思います。

そこで、具体的にいくつかのことを考えてみました。
@「島野菜」などのような農産物を含め、魚介類、加工品等の「五島発ブランド」の認定を行政と民間が協力して行う。
A行政は、「五島発ブランド品」の販売拡大に関し、民間に対し最大限の協力をする。
B民間は、「島野菜」など理想を持ったブランド産品の育成に努める。
C行政の堆肥センターの堆肥を「島野菜」の肥料として率先して利用する。また、行政も、市民に対しては堆肥を安く販売して容易に利用できるものとする。
D「島野菜の会」のような組織をつくり、横のつながりを強化する。
E「島野菜」の直売所、アンテナショップ「五島あおぞら市」の設立。
F給食センター、入院施設、入所施設、福祉施設との連携
G島内・島外販売ルートの確保
H観光・一般市民を巻き込んでの体験型農業の育成・販売。
I島内で農業を営みたい人に対して、容易に田畑や、住居を確保しやすくする。
Jくず野菜と呼ばれる、変形した野菜も流通できるようにする。
K「島野菜」など五島発ブランド品を使った加工品や、五島ならではの名物料理を開発する。
 考えられることは、まだまだあると思います。是非皆さんも一緒になって考えていただけませんでしょうか。次回は、まず「島野菜」などのような農産物を含め、魚介類、加工品等の「五島発ブランド」の認定について、具体的に考えてみたいと思います。
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19,島野菜(しまやさい)条例2004.12.24

今回は、『「島野菜」「五島発ブランド」の認定』について考えてみたいと思います。

行政と民間が一緒になり認定をして作業を進めていくとなると、まずはこの「島野菜」や「五島発ブランド」に関し、きちんと整備する必要が出てきます。そこでまずは、『「島野菜(しまやさい)」及び「五島発ブランド」の推進に関する条例』を作る作業から考えてみてはどうでしょうか。これは五島ブランド商品を明確にし、認定作業を行い、推進・拡大して島内・島外を問わず官民一体となり営業をして販売促進までも行うということを示すために五島市独自で定める条例を創るというわけです。

 具体的には、前回紹介させていただいたような内容が含まれるものと思われますので、参考にしていただきたいと思いますが、このままではイメージがつかみにくいので、一部分だけでも具体的に示してみたいと思います。

  『「島野菜(しまやさい)」及び「五島発ブランド」の推進に関する条例』
@「島野菜認定・推進委員会」の設置
 「島野菜」などのような農産物を含め、魚介類、加工品等の「五島発ブランド」の認定を行政と民間が協力して行うため、五島市長は、市役所職員、農業代表者、消費者を含めた形で諮問機関を設置し、「島野菜」「五島発ブランド」に関する基準に則り必要な事項について調査、審議を行う。 また、「島野菜」及び「五島発ブランド」をアピールし、販売拡大するための施策についても研究、助言するものとする。
A行政の責務
 五島市は、「島野菜」及び「五島発ブランド」を広く推進するため、その育成を図るとともに、販売拡大に最大限協力をする。また、行政としても、これらをアピールし、販売拡大をする。堆肥センターの堆肥が五島市の農業にとって、よりよいものになるように研究・努力する。
B生産者の責務
 生産者は、「島野菜」「五島発ブランド商品」などの実践、育成に積極的に取り組み、五島市が育成する、「島野菜」「五島発ブランド」推進のための施策に協力し、五島市が誇れるものを生産できるよう努力する。また、行政の運営する堆肥センターの堆肥を積極的に使用する
C販売者の責務
 「島野菜」及び「五島発ブランド」の商品を尊重し、アピールするとともに、拡大販売に努力する。
C市民の責務
 市民は、この条例の趣旨を理解し、市が実施する「島野菜」および「五島発ブランド」推進のための施策に最大限協力する。
D「島野菜」及び「五島発ブランド」の認定にかかる申請
 1.「島野菜」及び「五島発ブランド」の認証を受けようとする生産者は、市長に対し、認証にかかる申請を行わなければならない。
 2.市長は、申請があった場合、「島野菜認定・推進委員会」に諮問し、調査、及び審査、認定を行う。
E「島野菜」及び「五島発ブランド」の認定
1.五島市長は、「島野菜認定・推進委員会」認定結果に基づき、ブランド認定を行う。
2.生産者は、認定を受けた場合、その規則に定める行為を行い、五島市のブランドのイメージを損なわないように勤めなればならない。
F「島野菜」及び「五島発ブランド」認定証の交付
 五島市長は、「島野菜」及び「五島発ブランド」と認定された商品が出荷される場合は、定められた認定マークを交付することができる
G認定の取り消し
.認定委員会は、以下の事項があった場合、これを取り消すことができる
  1.認定内容に反する行為を行った場合。
  2.認定証を不正に利用した場合。
  3.認定者として適当でない行為を行った場合。
  4.五島市のブランドのイメージを損なうような商品を五島ブランドとして生産・販売した場合。

次回は、これら「島野菜」及びブランド品の販路拡大について考えて行きたいと思います

今回が2004年最後の「五島市を考えよう」になりましたが、少しは皆様のお役に立てる内容がありましたでしょうか。今年は合併をはじめとして、いろんなことがありました。年末には、久賀島をめぐる騒動も報道されているようです。2005年も五島市議に関する住民投票から始まり大きな動きが続きそうですが、五島市全体が明るく、平和で、活気のある楽しい島になれますことを編集部一同願っています。皆さんとともにすばらしい2005年を迎えられますように。(合掌)
では、また来年「ふくえアイランドプレス」でお会いしましょう。良いお年を!(編集部tad)
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20,ブランド認定2004.12.28

『「島野菜(しまやさい)」及び「五島発ブランド」』の認定に向けての条例作りというものについて考えてみましたが、ここでもう一度「島野菜」の定義をおさらいしてみたいと思います。

『島野菜』とは・・・・
@この島の中で育まれた野菜であること。
Aこの島の元気な土の上で育まれた野菜であること。
B健康な空気のもと育まれた野菜であること。
Cきれいな水を吸って育まれた野菜であること。
D太陽をいっぱいに浴びた旬の野菜であること。
E無農薬で作られた野菜であること。

私たちの言う『島野菜』と言うブランドは、「完全無農薬野菜」を基準に考えています。ただ、日本のあちらこちらでこの「完全無農薬野菜」をもとに、自治体で条例に基づき独自に審査をして認定を行い、ブランド化を行っているようです。ですからこの「完全無農薬野菜」を作るだけでは、現在既にやっているところとの差別化を諮るのは非常に難しくなります。しかし、何度も繰り返すようですが『島野菜』はそれだけではありません。健康で美しい空気と土と水をたっぷりと保有している、自然環境と調和したこの五島列島・五島市の中だけで育った野菜で、太陽の光を燦燦と浴びた旬の野菜である上に「完全無農薬野菜」なのですから、これはもう贅沢の極みとは思いませんか?これが、つまり『島野菜(しまやさい)』と言うわけです。

こうして五島の作物をブランド化することによって、五島が売るべき商品を作り出すことができました。次にこれらを売る方法を考えなければなりません。しかしアピールポイントを持った商品を持つということは、ただなんとなく物を売ることよりも、すばらしい戦力を持つことにつながり、またやりがいも出てきます。なんといっても自分たちが紹介している商品に誇りを持ちながら販売ができるわけですから。当然それらを生産している人たちも同様でしょう。こうして、生産する人と紹介する人、販売する人、それを利用して料理をする人たちの心がひとつとなることによって、このブランドはもっともっと力を持ち、大きくなってくるのです。これには五島市の行政の職員の皆さんも、五島のセールスマンという感覚を持っていただき、五島市民とともに「島野菜や五島発ブランド」を積極的にアピールしていただく必要があるということは当然です。

では、次週から具体的に、これらの販路拡大について考えて行きたいと思います。皆さんも是非考えてみてください。
★「島野菜の会」のような組織をつくり、横のつながりを強化する。
★「島野菜」の直売所、アンテナショップ「五島あおぞら市」の設立。
★給食センター、入院施設、入所施設、福祉施設との連携
★島内・島外販売ルートの確保
★観光・一般市民を巻き込んでの体験型農業の育成・販売。
★くず野菜と呼ばれる、変形した野菜も流通できるようにする。
★「島野菜」など五島発ブランド品を使った加工品や、五島ならではの名物料理を開発する。
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21,販路拡大2005.1.6

「地産地消」という言葉があります。その土地で取れた生産物を、その土地の人たちで消費していくということです。これには食料に対する安全志向の高まりを背景として、消費者と生産者の相互理解を深めるという意味合いがあるといわれています。そしてもうひとつ重要な意味があります。それは自分たちが生活をしている土地で育った作物を食べることが、人間も含め生物にとっては自然なことであり、体にとって良いはずであるという考え方です。「島野菜(しまやさい)」及び「五島発ブランド」の販路には大きく分けて島内消費ルートと島外拡販ルートが考えられますが、島内消費ルートのほうが安定して消費を見込めるということと、地元での認知力がないと、島外でのアピールも難しいという点から、基本はまずこの「地産地消」ということになると思います。
では、まずはこの「地産地消」を中心とした島内ルートを考えてみたいと思います。
@    島内循環ルート
 折角、五島発のブランドや野菜を育成するわけですから、当然島の外への販路は求めていきます。しかし先ずは地元での安定した消費というものが重要になります。地元で認知され、安定して流通すること。これは、これから『島野菜』や『五島発ブランド産品』に取り組んでいく農家や漁業の方の育成のためには絶対に必要なことです。ですから、このコーナーを読んでくださっている皆さんは、もちろんわかってくださっていると思いますが、地元の野菜や生産物を買ってください。特にこの『島野菜(しまやさい)』が流通し始めたら、真っ先に手を出してください。一般的な野菜より、価格は少し高めになるとは思いますが、そのすばらしさはご存知のことと思います。
 例えば、皆さんが『島野菜』や『五島発ブランド商品』を買うとどうなるでしょう。
皆さんは、健康な土地で育てられた、旬のおいしい野菜や肉、また美しい海で獲れた魚介類を手に入れることができます。
●島内の農家や漁業の方の収入が安定し、島内の第一次産業に希望が出てきます。
●お店屋さんは、島の外から品物を仕入れないので、島の外の業者にお金を支払いません。ですから、この島からお金が出て行きません。
●お金が島の中を循環するようになります。
全てが島の中で処理されますので、島内の税収も増えます。

さて、島外から仕入れられた野菜や生産物を皆さんが買うとするとどうでしょう。
皆さんは、どこで、どのように育てられたかわからない野菜や生産物を手にします。
島内の農家や漁業の方には、収入が入ってきません。どうしましょう。
お店屋さんは、島外の流通業者にお金を支払いますので、この島からお金が出て行くことになります。そしてこの島はどんどん貧乏になります。
今までどおりに、この島へ物が入り、一方的にお金が島外へ出ていくという図式が続きます。
この島の中の人に、お金が落ちていないので、島内の税収が減ります。そして、産業自体がなくなっていきますから、この島で生活する人がいなくなってしまうでしょう。

どうですか?大げさな話だと思いますか?でもこれは現実の話なのです。
 この『島野菜』や『五島発ブランド』を生産していくのは、当然農家や漁業の方たちです。しかし、これを助け育成していくのは、消費者の皆さんなのです。どこかでこの『島野菜』を見かけたら、是非手にとってください。お願いします。そして皆さんも一緒に考えてみてください。ご意見お待ちしています。次回は「島野菜の会」という組織の提案をさせていただきますページの頭へ

22,島野菜(しまやさい)の会2005.1.15

今週は、『島野菜の会』という組織作りの提案をさせていただきたいと思います。

実際に、「島野菜(しまやさい)」や「五島発ブランド商品」が流通されることになったとしても、相手は旬の野菜や魚介類であり、何がいつ取れて、どこで販売しているという情報がないと、消費者は、いつ・どこに・何を買いに行ってよいものか見当もつかないのではないかと思います。
 そこで、「島野菜の会」のような組織を形成し、「島野菜」の育成状況や、取れたて情報、販売状況をインターネットのホームページなどを利用して映像入りで紹介したり、メーリングリストサービスで、会員に連絡するというようなことも考えてみてはどうでしょうか。ただ、インターネットやメールなどが利用しにくい方たちもおられるでしょうから、皆さんが今読んでいる、この「ごとうアイランドプレス」も大いに活用できるのではないかと思います。この情報誌は、毎週一回発行されますので、魚介類は少し考えなければならないとは思いますが、野菜や加工品に関してなら情報発信も十分可能です。

この「島野菜の会」には「島野菜認定・推進委員会」のメンバーや堆肥センターに関る行政の方たちにも入っていただき、会員は、市の堆肥センターの堆肥を使いやすくするのも良いと思います。たとえば「島野菜の会」のメンバーは、特別に堆肥を安く購入できるようにして、その堆肥を使い「島野菜」を育成する。その代わり、「島野菜の会」のメンバーは、堆肥の育成にも積極的に参加して、野菜の育成に少しでも良い堆肥を作れるように協力する。このような動きは、当然お互いの利益にもなります。
 これはプロの農業の方たちだけでなく一般の方も同様で、野菜を作ってみたいと思われればこの会に入会し、この堆肥を安価で購入できるようにするとよいと思います。土地がなければ、後で説明しますが「H観光も含めた、体験型農業の育成・販売。」のなかで、空いている土地を安価で利用することも可能だと思いますし、自分の作った野菜が大量に余ってしまうような場合は、「島野菜(しまやさい)」の直売所として設立する「五島あおぞら市」「島ん市場」などで販売できるようにしてみるのも良い方法ではないでしょうか。

この組織には他に、給食センターや、病院などの入院施設、介護関係の入所施設や、福祉施設の職員の皆さん方や栄養士、調理師などのような専門業種の方たちの協力も不可欠になるでしょう。
 こうして、行政と農業や漁業の一次産業従事者と、販売または利用して調理・加工する人たちや一般消費者が横でつながることにより、この事業は発展していくことになりますし、この島の一次産業の活性化ということにもなっていくのではないでしょうか。
 いかがでしょうか。皆さんも是非考えてみてください。
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23,施設の協力2005.1.27

前回は「島野菜の会」という組織の提案をさせていただきました。この組織には、給食センターや、病院などの入院施設、介護関係の入所施設や、福祉施設の職員の皆さん方や栄養士、調理師などのような専門業種の方たちの協力も当然不可欠になります。
 これは、堆肥センターの堆肥育成についての助言や、堆肥の原料となる生ゴミの回収などの協力や、どのような種類の作物が必要なのかという助言という意味合いもありますが、もうひとつ、島野菜の島内消費や、島外への販路拡大に関しても一緒に島野菜の流通・販売経路確保・消費拡大を考えるという意味でも非常に重要な立場になります。
 これらの方たちの施設では、野菜を安定して大量に消費します。そこで、例えば学校給食や五島中央病院を始めとする医療機関や福祉施設などの施設が、『島野菜』を優先的に使ってくださるということになると、『島野菜』の安定した販路が約束できますので、農家の方の収入も安定します。確かな販路ができますと、取り掛かりに不安を抱く農家の方たちも『島野菜』を作りやすくなるでしょうし、島内の農業の復興・発展には大きな影響を及ぼすと考えられます。

まず学校給食ですが、成長期の子供達が食べる野菜です。それは専門の方たちが頭をひねり、きちんとしたものを作っているのは間違いないはずです。ただ料理の中に使っている野菜は、島内の野菜、特に『島野菜』を使用して頂きたいと考えています。太陽の光を燦燦と浴びた、旬の無農薬野菜です。ビタミンも栄養もたっぷりだと思いませんか?そして、形のそろってない、通常クズと呼ばれる野菜も使用できるような工夫も是非お願いします。これらのクズ野菜が流通できるのとできないとでは、大きな違いがでてきます。
 また、五島中央病院を始めとする医療機関や福祉施設でも同様です。栄養価の高い、『島野菜』の使用を是非お願いします。特に数多くの入院患者さんを抱えている五島中央病院では、もう既に行われているとは思いますが、島内産業の育成のためにも、島の野菜や米を使ってください。その量だけでもものすごいものだと考えられます。島外の業者が持ってこられる見積よりは、もしかしたら少し高くなるのかもしれません。しかし巨額のお金が島の中に落ち、しかも島内の農家の方の収入が安定し、その上、健康な野菜が手に入るのですから、一挙両得です。

また、島内消費という観点からもうひとつ。
 前回、消費者の皆さんに、「島野菜」をはじめとする島内で採れた野菜を買ってくださいというお願いをさせていただきました。今度は、野菜を販売されている方たちにもお願いです。「島内で採れた野菜の販売を推進してください。」消費者の声を聞いているのは、誰でもない、販売されている方たちなのです。消費者の求めているような野菜作りというものも、今後の島内の農業の発展のためには欠かせないものだと考えます。生産者・販売者・消費者の和が出来上がると、もっともっとより良いものができ、流れがスムーズなる用には感じませんか?是非、是非、よろしくお願いいたします。
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24,体験型農業2005.2.4

今週は、『観光・一般市民を巻き込んでの体験型農業の育成・販売』について考えてみたいと思います。

近年、「グリーツーリズム」という言葉をよく耳にします。これは、都会の方たちが農村や漁村に滞在し,実際に農家の生活や漁村での生活を体験したり、その地域の自然や文化を通じて人々との交流を楽しむ活動で、最近では修学旅行でも行われることがあるそうです。また体験型の観光手法としても、全国各地で取り入れ始めているようです。
 五島でも、現在使われていない農地が多く見かけられます。このような利用されていない土地を有効利用する方法を考える必要があります。
 そこで、以下のような事業を考えてみました。
@グリーンツーリズムを含めた農業体験型観光の育成
Aシルバー産業での余暇活動
B余暇を利用した趣味としての農業
C職業として農業を始めたいと思う方の本格的な農業への職業転換
理由はさまざまなのでしょうが、これらの方たちに、利用されていない農地を安く借り上げて、農業を実際に体験していただくという方法はどうでしょうか。

では、一つ一つ考えてみたいと思います。
@グリーンツーリズムを含めた農業体験型観光の育成
 旅行で五島を訪れた方たちの多くは、五島の自然を満喫したいと思ってくるはずです。また、その中には、五島の大自然の中で、ゆっくりと土に触って過ごしてみたいと考えておられる方もいるのかもしれません。たとえば修学旅行もそうです。「五島まで来て、何も農作業をすることは無いだろう。」とお考えの方も多いかもしれませんが、このような体験型の修学旅行は今非常に人気があるようです。
 たまたま旅行にこられた方が、そんなにタイミングよく、ちょうどよい農作業をできるかどうかはわかりませんが、ここで、以前紹介した「島野菜の会」が生きてきます。そのときにも紹介しましたが、「島野菜の会」では、「島野菜」の育成状況や、取れたて情報、販売状況をインターネットのホームページなどを利用して映像入りで紹介したり、メーリングリストサービスで、会員に連絡するというようなことも考えています。そして、「ごとうアイランドプレス」でも、さまざまな情報が流れることになるでしょう。また、この「農業体験型観光」に協力していただける方には、契約農家になっていただき、そのような観光客が来る際には、連絡を取り合い、一番都合のよさそうな畑を選び、仕事を手伝わせていただくという方法も考えられると思います。(漁業を体験したい方がおられましたら、同様のことも考えられるのではないでしょうか)
 相手は、あくまでも観光で来るわけですから、その手間賃などは払う必要は無いでしょう。その代わりに、手伝っていただいたときの作物などを少しお分けしたり、収穫が難しい時期でしたら、取れたら郵送するということも非常にうれしいサービスなのではないかと思います。
 しかもその野菜は、当然、畑直送の「島野菜(しまやさい)」なわけですから、おいしいに決まっています。そして、その観光客たちは、また「島野菜」を食べたくなるはずです。そうなると、五島観光の立派なリピーターになるでしょうし、五島になかなか来られなくても、通信販売や、ネットでの購入なども出てくるかもしれません。もっと熱心な方でしたら、「島野菜の会」に入会していただき、色々な取れたて情報を見ていただくということもできるのではないかと思います。

いかがでしょうか。なんだか楽しくなってきませんか?皆さんの是非一緒になって考えてみてください。
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25,余暇活動農業2005.2.11

「シルバー産業での余暇活動としての農業」

前回に引き続き『観光・一般市民を巻き込んでの体験型農業の育成・販売』について考えて行きたいと思います。
 仕事を引退したら都会を離れ、Uターン・Jターン、Iターンして五島の大自然の中でゆったりと過ごしたいと考えられている方が多くいると聞きます。また、五島でずっと生活されていた方たちの中にも、老後はゆっくりと、野菜でも育ててみたいという方も非常に多いようです。このような方たちにも是非「島野菜の会」に入会していただき、野菜を作っていただいたらよいと思います。
 多少の土地代は必要になるかもしれませんが、そんなに広い土地ではないでしょうから、使用されていない畑や田んぼをできるだけ安く貸していただき、みんなで少しずつ区切って利用させていただければ、土地の年間使用量も、そこまでかからないのではないかと思いますし、堆肥は、五島市の堆肥センターのものを使っていただけると良いのではないでしょうか。あとは、技術と経験ということになるのだと思います。そこは是非、「島野菜の会」の中での情報交換が必要になってくると思います。そこは、以前も紹介しましたように、「島野菜の会」のメーリングリストを活用したり、「ごとうアイランドプレス」で皆さんに呼びかけたりということもできるのではないでしょうか。

ただ、旬の野菜というものは、どうしても取れる時期が同じになってしまいます。自分たちだけでは食べきれないという、うれしいような、困ったことも出てくるかもしれません。そこは、知り合いや、「島野菜の会」のメンバーにおすそ分けをしてもよいかもしれませんが、「これは、売りに出しても恥ずかしくないぞ!」というような野菜が取れましたら、「島野菜の会」の直売所「五島・島ん市場」などに、値段と収穫日と名前を記して、置いてみてはいかがでしょうか。自分が作った野菜を、お客さんが手にとって、お金を出して買ってくれるという喜びも一つの楽しみになるかもしれません。

また、野菜を作ってみたいと考えておられる方たちの中にも、普段は仕事が忙しく、畑仕事は無理だが、休みの日だけ、余暇を利用して趣味としてやってみたいと考えておられる方もいるのではないでしょうか。
 そのような方たちの為に、「島野菜の会直営農場」というのもよいかもしれません。普段は、職員やボランティアの方たちがお世話をして、自分がかかわれる日だけ、一緒に作業を手伝わせてもらい、収穫したものを少し分けて頂くというだけでもよいでしょう。その「会直営農場」のそばに、直売所の「五島・島ん市場」や事務所を設け、堆肥センターの堆肥などを販売したり、情報交換のサロンなどを作ったり、「島野菜」を使った料理などが食べられるスペースがあったりすると非常に面白いのではないでしょうか。
 いかがでしょうか。是非皆さんも一緒に考えてみてください。
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26,島野菜(しまやさい)再説明2005.2.18

さて、『島野菜(しまやさい)』や『五島発ブランド品』の島内での安定消費が進むことによって、とりあえず生産者達には安定した収入が入るようになります。これまでお話してきたような様々な方向から、島内で取れた農産物・畜産物・魚介類の消費が少しでも多くなれば、第一次産業と言う職業が安定し、今後発展していくことができるのではないかと考えています。

島内では、あらゆる産業の行き詰まりが感じられます。五島病院移転、通信販売やインターネットの普及、大型店舗の進出による商店街の脆弱化。公共工事がなくなることにより、土木・建築・港湾業者の収入も著しく落ちています。また、五島支庁などの県からの出先機関の縮小・廃止をはじめとした公務員の人員削減などによる、島内消費の極端な減少。三方一両損などという言葉とともに、我々国民の負担は著しく大きくなる一方です。アイアンマン・夕焼けマラソン・椿祭りと、単発的なイベントはそれぞれ非常に盛り上がっているように見受けられますが、年間通してみると、観光客数やそれに伴う収入に大きな伸びはないようです。

今後、島全体の産業に対し、しっかりした中長期的なビジョンを持たずに推し進めていくと、とんでもないことが起きてしまうでしょう。この島内の産業をとりあえず落ち着かせるには、農業も含めた一次産業の復興と五島全体の自然環境を活かすことが大きなポイントになるのではないかと私たちは考えています。
 しかし、農家の方たちに話しを聞くと、「野菜がバカみたいな価格で取引される。箱代と手数料を引いたら何も残らない。」「箱にきちんと入るような形をしていないものは、クズ野菜として流通させてもらえない。」など、全く持って、おかしな話だらけなのです。こんなことでは、農業を続けていこうという意欲もなくなると言うことをおっしゃる方さえいます。

何故、野菜がバカみたいな値段で取引されるのでしょうか。それは、海外、または国内でも広い土地で大量に生産されたものを大量に輸送してくるからでしょう。もし五島の野菜がそれらと同じように作られていて、大量輸送されてきた外来産のものと差別化を図れないようであれば、いくら島内で生産されたからといっても、島外から輸送されてくるそれらの野菜と同等の値段しかつけようがないのです。つまりそれが、バカみたいな価格というわけです。
 そこで私たちが思いついたのが、『島野菜(しまやさい)』でした。ではここで今一度、島野菜の定義を紹介したいと思います。

『島野菜』とは・・・・
@この島の中で育まれた野菜であること。
Aこの島の元気な土の上で育まれた野菜であること。
B健康な空気のもと育まれた野菜であること。
Cきれいな水を吸って育まれた野菜であること。
D太陽をいっぱいに浴びた旬の野菜であること。
E無農薬で作られた野菜であること。

 このような、付加価値をいっぱい持った魅力ある野菜を生産し、流通させることができるならば、多少値段が高くなったとしてもよいのではないか。そして、こんな魅力いっぱいの野菜を作れば、それを新鮮なうちに送ることができれば、島外にすんでいる人たちだって、きっと食べたいと思うに違いありません。
 いかがですか、皆さんも是非考えてみてください。
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27,島野菜(しまやさい)纏め2005.2.25

『島野菜』『五島発ブランド商品』の目的は、「福江島で採れた野菜や産物に付加価値をつけるということ」です。この付加価値をつけることが可能になれば、「島外から入ってくる野菜や魚介類・食肉との差別化を図る」ということができます。差別化が図れると、島外から入ってくる産物よりも多少高く値がつけることが可能になるでしょう。

一次産業従事の方たちに安定した収入が確保できるようになると、低迷を続けているこの島の産業にも希望が見えてくるようにも思えます。
 そしてもうひとつ、島の人たちができるだけ島内で採れた産物を食べるようになるならば、島の外からこの島の中に物とゴミだけが入り、この島からお金だけが、どんどんなくなると言う現在の構図が変わる可能性も出てきます。
 五島市を発展させるためには、お金の流れを考え直す必要があります。つまり五島市内のお金を市から外には極力出さないようにして、市内で消費し還流させ、市外から外貨を稼ぐということです。そして無駄なお金は使わない。簡単に書いていますが、これは非常に困難なことです。
 この中で、外貨を稼ぐということは、この島の中で何かを生み出し、それを島の外に販売し、収入を得るということです。この中心に考えられるのは、当然、農業・漁業、つまり一次産業というわけです。何もないところから、ものを生み出す産業というものが、実際には一番大切なものであり、考えるとすごいことだと思います。
 では、外貨を稼ぐためにはどうすればよいのでしょうか。
 たとえば、観光。この島には、十分な素材がありますが、まだまだ生かしきってないように思えます。それどころか、素材を殺してきたようにさえ思えます。ぜひ、自然・環境・景観を大切にして、自然の森林を切り倒して、新たに植樹してみたりというような行為は絶対にやめてください。

そして、漁業。この島の周りには、世界中の人たちがよだれを垂らすような素材がたくさんあります。鰹でも、クロ(特に高崎のものはおいしいって聞きますね)でも、キビナでも本当においしい魚です。個人的には、この島のシラウオもおいしいって思っていたのですけど、最近は、ぜんぜん見ませんね。それに、鮑を干したメイホウというのは、世界中がこの五島産のものを欲しがったということを聞いたことがあります。
 そして、『島野菜(しまやさい)』もその重要な産業のひとつになると考えています。また、この『島野菜』を使った、名物料理の開発も考えることも必要かもしれません。

以前も申し上げましたが、アスパラガスを特産としているフランスのある地方では、アスパラガスの本当においしい旬の時期にしか出荷することを許されていないそうです。しかし、その地方には独特のアスパラの調理法があり、その料理を食べたいが為に、世界中から人々が集まってくるとのことでした。その他でも、フランスの高級レストランに入ると、鮮度の良い旬のアスパラガスをただゆでただけのものが、一皿なんと2000円以上もするそうです。確かに、旬の野菜は、ゆでて、塩、コショウするだけで、十分にご馳走になります。また、それに勝るものは無いのかもしれません。

よく、名物料理を作ろうと、有名料理人を連れてきて、いきなり独創的な料理を開発する話題を耳にします。しかし、なかなか成功する事例はないように思います。その主な理由として次のようなことが考えられないでしょうか。
素材が、別にその土地でなくても容易に手に入る。
開発した人以外では、なかなかおいしく作れない。
奇をてらいすぎて、たいしておいしくない。
季節感がなくて、いつでも食べられる。
何の変哲もない料理である。
いじくりすぎて、せっかくの素材の味を殺してしまった。

 この島で、ある一定の期間だけ、旬の時期にしか食べられず、しかも素材が新鮮なのが命という、シンプルで『島野菜』という素材の味を生かしきった料理があったとしたら、どうでしょう。今の私では、これ以上考えるのは無理のようですが、『島野菜』という素材作りから、同時に始められるとしたら、時間をかけても、大切に育てていけたらと言う風に思います。

これら五島の産物を島の外に売り出す方法として、インターネットという便利なものもあります。インターネット言うものは、その場所へ行かずにして、いろいろなものを買いも物で来ますし、いろいろなことを知ることができます。ただ、こちらから発信するものがなければ、通信販売同様、やはり物とゴミばかり輸入し、お金ばかりが出て行くということに拍車をかけるばかりのものでしょう。
 その、この島からの発信材料のひとつとして、『島野菜』『五島発ブランド商品』というものも十分に魅力のあるものであると思います。そのことにつきましてはもう何度もお伝えしました。ただ、ひとつ気になることは、五島の食材は食べ方がよくわからないのです。サバの生節など非常においしいと思うのですが、お土産で持っていっても、よその土地の人たちは、なかなか食べ方がわからない。そういうことが多いように聞きます。もっと、それぞれの特徴を生かし、具体的な食べ方や、その食材の歴史、また、その食材で物語が生まれるようなパッケージングができると、とても面白いまではないかと思います。

五島市の今後を考えるときに、一次産業の活性化ということが鍵を握っているということは言うまでもありません。これまで色々な事例を具体的に紹介して一次産業の活性化を推進するためには、何が必要なのかということを考えてまいりましたが、いかがでしたでしょうか。これらのアイデアが、少しでも五島市の発展のお役に立てましたらうれしい限りです。
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28,島ん市場2005.3.11

<五島・島ん市場>

 今週は、 「島野菜(しまやさい)」及び「五島発ブランド商品」の直売所として設立する「五島・島ん市場」について整理してみたいと思います。

 この「五島・島ん市場」は、当然「島野菜」及び「五島発ブランド商品」の販売及び販売促進のために存在しますが、もうひとつ、ここは、「島野菜の会」という組織を通じた、一次産業をはじめとして五島をより豊かにすることを目的とする人たちが集う、コミュニティの中心と位置づけしてよいと思います。
 「五島・島ん市場」ではまず、一般の「島野菜」や「五島発ブランド商品」、現在一生懸命頑張っておられるお茶なども含まれると思いますが、このような商品を販売します。これは、専業として農業されている方たちのものだけでなく、「島野菜の会」に入会して、基準にのっとった「島野菜」を作っている方たちであれば、自分の作った野菜が大量に余ってしまうような場合、「これは、売りに出しても恥ずかしくないぞ!」というような野菜ができましたら、値段と収穫日と名前を記して、置いてみてはいかがでしょうか。自分が作った野菜を、お客さんが手にとってお金を出して買ってくれるという喜びも一つの楽しみになるかもしれません。
 また、ここに並べられる商品は、誰がどのようにして作ったものであるか、取れたものであるかということ。そして、どのようにして食べるとよりおいしいのかということ。できれば作っている人たちの気持ちが伝わるメッセージカードや、そのものの物語ができると、非常に面白いのではないでしょうか。ですから、作った人、採った人たちの気持ちを野菜や、ブランド商品と一緒に購入してもらうというわけです。
 野菜を作ってみたいと考えておられる方たちの中にも、普段は仕事が忙しく、畑仕事は無理だが、休みの日だけ、余暇を利用して趣味としてやってみたいと考えておられる方もいるのではないでしょうか。そのような方たちの為に、「島野菜の会直営農場」というのもよいかもしれません。普段は、職員やボランティアの方たちがお世話をして、自分がかかわれる日だけ、一緒に作業を手伝わせてもらい、収穫したものを少し分けて頂くというだけでもよいでしょう。その「会直営農場」のそばに、直売所の「五島・島ん市場」や事務所を設け、堆肥センターの堆肥などを販売したり、情報交換のサロンなどを作ったり、「島野菜」を使った料理などが食べられるスペースがあったりすると非常に面白いのではないでしょうか。この農場は、今後、体験型の観光・修学旅行やグリーンツーリズムにも、非常に役に立つものになるでしょう。
( ⇒つづく)

29,島ん市場(2)2005.3.18

前回から、「五島・島ん市場」について具体的に紹介させていただいておりますが、この「五島・島ん市場」を、現在五島市が計画している「堆肥センター」の堆肥の販売・推進事業の中心としても位置づけ、利用してはどうでしょう。そして、ここに集まる。「島野菜の会」のメンバーが中心となり、良い堆肥を作れるようなアイデアを出してみたり、堆肥の直接的な販売などもしてよいのだと思います。ですので、センター的な意味合いでの、「五島・島ん市場本店」は、堆肥センターの近くにあると便利ですね。
 つまり、広く場所を取れる郊外に、五島市の「堆肥センター」と、「島野菜の会直営農場」と、「五島・島ん市場・本店」を併設します。
 そして「五島・島ん市場・本店」の中には、
@「島野菜」「五島発ブランド商品」「堆肥センターの堆肥」などの「販売コーナー」 
A「島野菜」や「五島発ブランド商品」を使った料理が食べられる「レストラン」

B農業なども含めた、色々な情報交換ができるようなサロン
C「島野菜の会」を運営・調整していく事務所

これらのようなことをしていくと、人がたくさん集まってきて、施設に活気が出てくるのではないかと思います。駐車場もかなり広く取り、グリーンツーリズム、体験型観光、修学旅行など、観光客や団体さんなんかも集まってくるでしょうから、最初から余裕を持ったスペースを確保したほうがよいでしょう。 そしてこの本店だけでなく、一般の方たちも気軽に立ち寄れるように、支店、営業所のような施設を商店街の空き店舗スペースなどを利用して、営業していくことも必要になってくると考えます。
 また、「島野菜」というブランド作りは、以前にも申しましたが、 島外からの外貨を稼ぐという目的もあります。そこで、島外、長崎や、福岡の駅前にも「五島・島ん市場」を開設し、ブランド商品を販売してみたり、五島の情報発信をしてみたりということをしてみてはどうでしょうか。そして、この施設を営業の足がかりとして、定期的に取引をしてくれるところを開拓できるとより発展的です。

 いかがでしょうか、私たちの考えている五島ブランド商品の直売所「五島・島ん市場」の概要は理解していただけましたでしょうか。私たちは、この施設の基本的な柱は、五島の人たちのコミュニティーの場所作りだと思います。皆さんも是非、一緒になって考えてみてください。

 また、先日から、「『島野菜(しまやさい)』を買いたいのだけれど、どこで買えるのか」とか、「『五島・島ん市場』は、どこにありますか? 」といった問い合わせを多数頂いておりますが、これらのものは、一次産業の活性化の為に、このようなものを創造してはいかがでしょうかという、筆者の願いであり、提案の段階ですので、まだ実際には存在しておりません。ただし、一部には、これらに近い活動をなされている方たちもおられるようですので、その方たちの活動を是非応援していただきたいと思います。
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30,漁業と河川2005.3.25

今回は、漁業について考えてみたいと思います。
 五島は、周辺を豊富で味もよい水産資源に恵まれた、豊かな海に囲まれた島であるということは言うまでもないでしょう。ただ、近年魚が取れなくなってきたという話をよく聞きます。どうしてこういうことになってしまったのでしょうか。
 まず考えられるのは、河川ではないでしょうか。以前も紹介させていただきましたが、北海道・襟裳岬の漁協の奥さん達が、自分達人間が100年の間に壊してきた海岸や海を、これから100年かけて復元しようという運動を始めました。そして、自分たちの手で山に木を植え、川を育て、やがて豊かな海を取り戻しつつあるということです。
 この話しは、何度もテレビや雑誌等でも紹介され、この運動は全国各地に広がっているという話をよく耳にするようになりました。海をきれいにするために、先ず山に木を植え、また川を豊かにするという発想は、本当にすばらしいと思います。

近年は、行政や土木関係者の努力のおかげで、河川工事も自然を取り入れた形のものに大きく変わりつつあるようですが、以前は、洪水防止や安全のために川幅を広く取り、かつ直線的な河川の工事が行われてきました。こうした河川の形態の変化は、多くの生物の生態系に大きくかかわってくるといわれています。それは何故でしょう。
まず、川が直線的に流れることによって、よどみがなくなります。すると、よどみや川の流れが穏やかな部分に生育するはずの微小生物が生活できなくなります。そして自然な形の生態系が作り出されにくくなります。
直線になった川は流れが速く、微小生物は、川に留まることすら難しいでしょう。
また、深くコンクリートで固め、高く堤防を持った川は、陸上生物や両生類と川とのつながりが断たれてしまいます。また水草も少なくなるでしょう。
水草やよどみがなくなれば、昆虫や水中生物が卵を産み付ける場所がなくなります。
そうやって、川に関わりを持つ生物の生態系が破壊されると、本来あるべき、川自体の持つ自浄作用がなくなります。
その上、無造作に流される家庭排水、事業用排水によって、川は川でなくなり、コンクリートで固められた大きな溝となります。そして、ただ単に汚い水を集め、海に送るまでのドブとなってしまいます。

 ですので、まず島内の河川と自然環境を取り戻すということを考えなければならないでしょう。これで魚が以前のように取れるようになるかというと、はっきりとはわかりません。しかし、これがまず一歩なのだと思います。海は、様々な要因で姿を変えてしまいます。水温、気候の変化、川の流れ、護岸、岩の形ひとつでも潮の流れは変わっていくのでしょう。有明湾は、巨大な潮受け堤防を作ることによって、まったく姿を変えてしまったようです。元の姿に戻してしまうということは、非常に難しいのでしょうけれど、近年、近自然型工法という技術もかなり進んでいるようです。元の姿に近い姿を見ることは可能なのではないかと考えます。
 いかがでしょうか。皆さんも是非一緒に考えてみてください。次回も漁業について考えてみたいと思います。
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31,漁業と海2005.4.2

前回は、漁業と河川の関連について考えてみましたが、海についても同様のことが言えると思います。高い防波堤や、護岸工事等の海に対する影響力は、思っているより大きいようです。たとえば増田町は、30年前はとても広い砂浜が広がり、島の代表的な景色として観光パンフレットにも紹介されていたものでしたが、現在では防波堤から砂浜を見ることはできず、ごろごろと石が転がっているだけの景色となってしまいました。これが良いことなのか悪いことなのかは、そこの住民の方たちでないと実際にはわからないことなのですが、ただ、大きく潮の流れが変わってしまったということだけは確かなことのようです。

 以前この紙面で紹介させていただいた、平山徳一氏の「故郷」という文章の中に、この増田町の砂浜のことを書いた部分がありますので紹介してみたいと思います。

(前略)
 川の流れは橋をくぐるとすぐ海に出る。淡水と塩水とが合流して眩しいほどの砂浜を休むことなく洗っている。浜では相撲をとったり、駆けっこをしたりしたものだった。農閑期には牛にすきを引かせて蛤をとるなど牧歌的風情もあったが、今では防波堤が築かれ、その風情と共に浜もなくなってしまった。
(中略)
近代社会の巨大なメカニズムは、私たちから情緒も郷愁も奪ってきたし、大自然の摂理に刃を向けて非道を無反省に歩いている。これで果たして文化国家といえるのだろうか。海や川や大地が持っている自浄力も破壊するほどに人間はわがままであって良いはずはない。
 やがて大自然の手痛い報復を受ける覚悟が必要である。今からでも遅くはない。大自然と共存するような感傷的なロマンが生まれるような魅力ある故郷づくりをして欲しい。このことは、私だけの貪欲だろうか。(平山徳一『故郷』より抜粋)

 いかがでしょうか。水中生物と陸上生物、そしてその両方を行き来する生物が複雑にかかわりあうことにより生態系は維持され、地球上の生物は進化し、自然が育まれてきました。また、海や川は、それらの生物との係わり合いを最大限に発揮し、自浄作用を生み出していたのです。
 現在、五島の護岸工事の多くは、海と陸とを垂直の壁により寸断する方法をとっています。護岸を自然共生型へ作り変えることによって、生態系や海水の自浄作用が復活し、水産資源が以前のように豊富になるということは考えられないでしょうか。

 時間はかかるかもしれません。しかし、この100年の間に我々が壊してきた河川や島の自然環境をこれから100年かかっても200年かかっても次の世代に伝えていく義務が私たちにはあるように思います。
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32,土木工事2005.4.8

 前回・前々回と、五島を自然環境と共存する島にするために、『五島市全体の海の護岸工事や河川を近自然型工法のものに作り変えていただきたい』という提案をさせていただきましたので、今回は、これらの工事に一番関係してくる、土木・港湾・建設関係の業者さんと公共事業について考えてみたいと思います。
 この島の基幹産業は何ですかと聞かれたら、「公共事業です」と答えるくらいに、この島は地方交付税や離島振興法の恩恵にあずかり、地元の土木建築業者が公共事業を行っていたおかげでこの島に多額のお金を落とすことができました。しかし今後、大きな公共事業の計画はなく、護岸や港湾関係の事業も、もう工事するところがないとも聞き及びます。また、国の大きな政策の転換や資金不足によって、島内の土木・港湾・建設関係の業者さんたちは、非常に苦戦を強いられていると聞きます。本来であれば、もう少し緩やかな産業の転換が図られるべきだったのでしょうが、島内ではそうは行かなかったようでした。
 そこで今回の提案です。五島市全体の海の護岸工事や河川を近自然型工法のものに作り変えていくという事業は、当然のことながら今まで作ってきたものを一から再度、もっと複雑なものに作り変えようというわけですから、これまでよりもずっと資金も工事期間も必要となります。ですので、この島をエネルギーや、自動車の動力等も含めて、すべてを変えていくくらいの思い切った発想で、この島全体を『環境特区』に指定していただき、国から資金を出していただくように働きかけてみては如何でしょうか。
 これらの工事をいつもでもやっていくというわけには行かないのでしょうが、当然維持管理の必要は出てきますし、まったくなくなるというわけではないでしょう。そしてこのような事業をしばらく続けていきながら、島内での緩やかな産業の転換というものを考えていく必要はあると思います。
 また、このような事業を続けていくと、この島が日本全体の環境推進のパイロット地区になることにつながってきます。この島全体を日本全体の縮小版と考え、この島で自然環境と共存できることを示すことによって、同様の事業を日本全体に広げることができるような情報の発信源にもなることができるというわけです。そのための『環境特区』でもあるのです。
 五島市も合併して、半年以上が経過しました。五島市へいただける地方交付税は、合併後10年間は合併前の金額が保障されるという約束になっています。そしてその後5年間かけて段階的に減らされていくようです。つまり10年後にはほとんどの事業をやり終え、15年後には五島市は自立できる島として完遂していなければならないというわけです。ですから、将来へ向けてのコンセプトをきちんと立てた上で、五島市が自立・独立するための戦略を立てた上で、工事を行ったり、お金を使っていかないと大変な事態に陥る可能性があると思います。10年という時はあっという間に過ぎてしまいます。正直申し上げて、すぐにでも実行に移さないと、時間はもうあまり残されていないように思います。
 この島を世界に先駆けて、「自然環境と共存する島」というコンセプトを中心に据え、それに付随する形での産業を育成するという戦略を立てた上での島の創造を、是非実施していただきたいと切に願っています。
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33,一次産業について2005.4.15

何度も申し上げますが、五島市の今後を考えるときに、一次産業の活性化ということが鍵を握っているということは言うまでもありません。このコーナーではこれまで、「自然環境の改善」と「生活環境の改善」という二つの『環境の改善』をテーマにすえて、一次産業の活性化を推進するための具体的な提案をさせていただきました。
 五島市を発展させるためには、お金の流れを考え直す必要があります。つまり五島市内のお金を市から外には極力出さないようにして、市内で消費し還流させ、市外から外貨を稼ぐということです。そして無駄なお金は使わない。簡単に書いていますが、これは非常に困難なことです。
 この中で、外貨を稼ぐということは、この島の中で何かを生み出し、それを島の外に販売し、収入を得るということです。この中心に考えられるのは、当然、農業・漁業、つまり一次産業というわけです。何もないところから、ものを生み出す産業というものが、実際には一番大切なもので、人間が生きていくための基本であり、産業の根本にあるものです。
 ただ、消費者にしても、五島市で作られた野菜だからといって、黙って買ってくれるわけではありません。当然、様々な食材が、安価で並べられてあれば、そちらに興味をそそられても仕方が無いことでしょう。しかも、近年、大手の商社が契約農家に栽培させているものには、無農薬野菜や、永田農法など特徴のある農法を採用しているものも多く見られ、それは食べてみたいと思わせるようなアピールもよくなされています。そこで、私たちが考えたものが、何度も紹介させていただきました『島野菜(しまやさい)』です。

『島野菜』とは・・・・
@この島の中で育まれた野菜であること。
Aこの島の元気な土の上で育まれた野菜であること。
B健康な空気のもと育まれた野菜であること。
Cきれいな水を吸って育まれた野菜であること。
D太陽をいっぱいに浴びた旬の野菜であること。
E無農薬で作られた野菜であること。

漁業にしても、ひとつの島・それを取り巻く海という、すべてはつながったものであり、漁業活性化のため、統一感を持った方向性を持たせるということも大切です。五島灘で獲れた魚、五島で獲れた魚というブランドイメージは全国でも高く、そのブランド力を強化し、加工品を充実させ。そしてその商品に作った人たちの思いを乗せストーリーを作る。また、具体的に食べ方などの紹介文も添える。また、島内で捕れる新鮮な高級魚介類を買って帰れる施設が少なく、「五島・島ん市場」なども最大限に活用しながら、観光客などに対する施策も同時に考え、島外への流通ルートも確立することが必要です。

また、五島の魚にいえることは、並んでいるものも、食事をするところでもそうなのですが、なかなか四季を感じることができません。五島には、野菜と同じように旬の魚があります。そして、五島の旬の魚は、本当においしいと感じることができます。もっともっと、五島の四季を生かした、旬の魚介類の食べさせ方というものを考えてもよいのだと思います。

五島市が未来に何を見据えて発展を考えていくか、なかなか見えてきませんが、観光産業にしても、シルバー産業にしても、スポーツを通じての人の還流を図るにしても、この一次産業というベースがしっかりしていないと、何をやっても中途半端になるということははっきりとしています。ですから是非、まずはこの一次産業を支えるために何をすればよいのかという考え、すぐにでも行動に移していただきたいと願います。
下に、これまで行ってきた、一次産業活性化プランの一部を紹介させていただきます。

A)一次産業の活性化について
@「島野菜」などのような農産物を含め、魚介類、加工品等の「五島発ブランド」の認定を行政と民間が協力して行う。
 ◎『島野菜条例』
 ◎『五島発ブランド商品』「島野菜」のブランド認定
A行政は、「五島発ブランド品」の販売拡大に関し、民間に対し最大限の協力をする。
B民間は、「島野菜」など理想を持ったブランド産品の育成に努める。
C行政の堆肥センターの堆肥の利用について。
D「島野菜の会」の設立。情報の拡大について。
E「島野菜」の直売所、アンテナショップ「五島・島ん市場」の設立。
F給食センター、入院施設、入所施設、福祉施設との連携。様々な職種との連携。
G島内・島外販売ルートの確保。「地産地消」と販路拡大について
H観光・一般市民を巻き込んでの体験型農業の育成・販売。
I島内で農業を営みたい人に対して、容易に田畑や、住居を確保しやすくする。
Jくず野菜と呼ばれる、変形した野菜も流通できるようにする
K「島野菜」など五島発ブランド品を使った加工品や、五島ならではの名物料理を開発

B)自然環境との共存
◎五島市全体の海の護岸工事や河川を近自然型工法のものに作り変える。
◎土の清浄化
◎車の動力の転換・新しいエネルギーの導入事業
◎環境特区へ向けての活動

いかがでしたでしょうか。「一次産業の活性化」についての提案は、今回はこれで終了させていただきますが、この島にとっては、最も重要な事項であるということですので、近いうちに、また書かせていただきたいと思います。
 次回からは、「五島市を考えよう」の当初にあげさせていただきました、そのほかの様々な事項についても考えて行きたいと思います。皆さんも是非、一緒に考えてみてください。
 なお、「一次産業の活性化」についての提案をさせていただいている期間中、多くの方から、励ましや、ご意見をいただきましたことを深く感謝いたします。新しいシリーズでも、またよろしくお願いいたします。(編集部・tad)
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34,商店2005.5.6

前回まで、一次産業の活性化について色々と考えてまいりましたが、今週からは、そのほかの産業についても考えてみたいと思います。まずは、『島ん店』のコーナーでも紹介させていただいていますが、旧福江市商店街も含めた島内の商店についてです。
 五島中央病院が郊外へ移転し、その周辺に大型の商業施設が次々に乱立しています。また、大規模な娯楽施設も立ち並び、週末などは五島にもこんなに人がいたのかと思わせるくらいに人や車でごった返しています。今後も島外からファミリーレストランや生鮮食料品を販売するような大型スーパー進出の噂もあるようですので、五島で以前から商店を構えて商売をやっていた人たちにしてみますと、たまったものではないでしょう。確かに大型店舗同士のチラシの打ち合いを見ていますと、洗濯機や冷蔵庫なども、買わなければ損するような値段がつけられていますので、従来の商店では価格で対応することは困難な状況です。噂によると、これらの大型店舗は、それぞれが10億円以上、多いところでは20億円から30億円もの売上を毎年上げているようですから、娯楽施設の売上も合算してすべて合計すると、五島中央病院周辺の店舗の売上だけで、ものすごい消費になるようです。
 また、通販やインターネットでの買い物もますます便利になり、本やCDだけでなく、大型電気製品や、ベッドやソファーといった大型の家具さえも、送料無料で、しかも1日・2日で届けられるシステムになっているようです。多くの在庫を抱えることが難しい離島の店舗にとっては脅威としか言いようがありません。
 このままでは、福江市中心街も、その他の商店も立ち行かなくなってしまう可能性もあります。どうすればよいのでしょうか。確かに商店街の方たちも、様々な取り組みをされているようです。巡回バスも非常に好評のようですし、独自のイベントも毎年様々考えられ、頑張っておられるようです。しかし、五島中央病院の郊外移転だけ考えても、五島中央病院目的で市街地に来られていた患者さん、看護人、見舞いの方たち、出入り業者を含めると、一日約1,000人以上の方たちが、旧福江市の中心街へ来る機会がなくなっているともいわれていますので、この方たちが消費していた分を埋めることは非常に難しいと考えられます。また、病院職員の方たちの住宅も郊外へ移転されていますので、職員とその家族も含めますと、多くの消費者が郊外へ流出したと想定できます。
 そのうえ、五島市の合併に伴い、五島支庁に配属されていた県の職員の大幅減少や、学校統合、五島市の職員の削減も今後行われるという話もありますので、五島市全体の人口の減少、特に就業者人口の減少が考えられますし、五島市全体の購買力の低下は避けることはできないようです。また、国の施策で進められている規制緩和に伴い、酒屋さんをはじめとする特定事業を行っていた職種の方たちも現実として廃業に追い込まれているということも含め、島内の商業は大変な事態に陥っています。そのほかにもマイナス要因を考えていくと限りなくあげることができるように、悪循環というのは、際限なく広がっていくようにも思えます。
 そこで、今回からしばらく、五島市に拠点を置く『島ん店』が少しでも上向くことができるように、島内の商業に関して考えてみたいと思います。皆さんも是非一緒になって考えてみてください。
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35,湯布院2005.5.21

「物見遊山型の商店街」として、全国の商店街活性化の成功事例で、たびたび取り上げられる「由布院」へ行ってまいりました。五島市も、観光を今後主な産業のひとつとして考えるならば、この「物見遊山型の商店街」という形態も頭においておく必要があるのかもしれません。

由布院は、人口およそ1万2,000人、世帯数3,700余りの小さな町ですが、この町を訪れる観光客は年間400万人にも上るそうです。(因みに五島市は、新聞発表によると昨年一年間で21万5816人の観光客が来られたそうです)
 福岡・博多から「湯布院号」なる、それこそ素敵な町を予感させるようなネーミングの列車に揺られ由布院駅へ着きました。小さな駅なのですが情緒たっぷりに仕上げられていて、駅の玄関脇には観光用の馬車が待機されていたりして、なかなかいい雰囲気を出しています。五島市の玄関先ともいえる港やその周辺も、無機質でどこかで見たようなターミナルにするのでなく、もっと五島らしさというものを前面に打ち出したものにすることを考えてよいのではないかと感じさせられました。また、建物を出てから受ける第一印象というものは、非常に重要となってきますので、早急に港周辺の整備はしなければならないでしょう。

由布院に話を戻しましょう。旅館までの間、情報収集しながらいろいろ町並みを見せていただこうとタクシーに乗るために、タクシー乗り場で待っていたのですが、これがなかなかこない。見ていると同じタクシーがぐるぐる回っている感じで、結局30分以上待たされてしまいました。 で、いろいろ回っていただき、まず気がついたことは非常に狭い町であること。そして歴史という歴史がない。神社仏閣等の見るものがまったくなく、しいて言えば金鱗湖と由布山くらいなものとのことでした。運転手さんも「この町には、お湯くらいしかないもんね〜」のとこと。 (由布院の関係の方がおられましたら申し訳ありません)五島は本当に美しく、自然景観、歴史や食材も様々な財産を数多く保有した、宝のような島だと再認識させられました。
 やはり自分の足でも歩いてみようと、町の中をくまなく歩いてみましたが、せっかくあったはずの裏通りの馬車道なども、馬車が通れないように道路を変えてみたり、家を拡張したりして馬車が通れないようになってしまっていたりで、観光の目玉の馬車も通れる道がなくなってきているようでした。自分の町の魅力を認識せずに、特色をどんどん消していく・・・・いずこも同じと感じさせられました。
 さて本題の、噂の商店街を見なければと金鱗湖から商店街に入ると、人・人・人・・・人だらけ。立ち並んでいるお店の中も、身動きが取れないほど観光客が入っていて、中の商品をゆっくりと見る余裕もないほどでした。
 そんなこんなで、なんとなく商店街全体を眺めておりまして、私なりに気がついたことがありましたので、次週より少しずつご紹介してみたいと思います。
 皆さんも是非、島の産業やそのほかのことも含め、一緒になって考えてみてください。
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36,物見遊山型2005.5.27

では、由布院の商店街を眺めて、私なりに気づいたことをあげてみたいと思います。

@「物見遊山型」というひとつのコンセプトを固め、ひとつの商店街を形作っている。
〜ただし、動きに積極的だったお店と、そうでないところも見て取れる〜

 なかなか全員一致で、何か同じことをするというわけにはいかないもので、皆さんそれぞれに事情があるのが当然なのでしょうけど、どうしても、「物見遊山型」というひとつのコンセプトに則った形での商店街に積極的だったお店と、そうでないところというのが見て取れてしまうように感じました。店の表の造りも含めて、商品構成、装飾も、店全体の雰囲気もすべてです。
 外には、人がまっすぐ歩けないくらいの観光客が連なりお祭りのような騒ぎで、商店街の開放的なお店の中でワンヤワンヤの人だかりなのに比べて、片方は、ひっそりと暗ーくした店作りで、まるでこの雑踏は自分たちには関係ないという雰囲気をかもし出しているみたいでした。
 また、ちょっと横道に入ったら、そこにはどこにでも見かけられるような、普通の商店街もあったりしました。もしかしたら地元の人たちは、そちらのほうを使っているのかもしれませんが、私が見る限りその時間、そちらの通りに人を見ることはできませんでした。ただ冷静に考えてみると、町の中の商店街全部が「物見遊山型」になってしまっていたら、いつも利用する町の人たちには、少し息の詰まるような感じもするかもしれません。なんとなく「住宅展示場」に住んでいる感覚とかするのではないかと、ちょっとだけ感じてしまいました。

しかし、観光を地域の活性化策として前面に打ち出すことを決めるとしたら、観光客がまずは行かなければならない商店街というものは必要になってくると考えられます。この通りに行けば間違いなくこの土地の目玉商品が手に入り、見ているだけでも楽しいと思わせるような「物見遊山型」の商店街、または「物見遊山通り」だけでも良いでしょう。そういう意味では、この商店街はすばらしい成功事例として賞賛されて当たり前なのだろうと感じました。いろいろな考え方もあるのではないかとは思いますが、これだけの観光客の方たちが練り歩く姿を見ていますと、「由布院」という町が、新しい形の商店街を作り始めた時点から、『観光』というものを前面に打ち出し、温泉宿や、町の人たち全体で、「物見遊山型の商店街を目指す」というひとつのコンセプトに向けて商店街全体で取り組んできたという、成果ではないかと感じられました。

たとえば全国の他の地域でも、横浜の「中華街」や、輪島の「朝市」、京都の清水寺の参道など、ひとつのコンセプトに則った形での「物見遊山型」の典型的な通りや町並みが形成されているのではないでしょうか。
 五島の中でも、街全体とは行かなくても、狭い通り一本でもかまいませんから、「五島でしか手に入らないもの」、「五島で今旬なもの」そのようなコンセプトを持ったお店が軒を並べて、「物見遊山的通り」を作ってみても面白いのではないかと思います。現在、公設市場の入居者が少なく、有効利用を考えなければならない時期にも来ているようですので、こういった方向性もひとつ考えてみてはどうでしょうか。
 いかがでしょうか。次回も、「由布院」を参考として、色々と考えてみたいと思います。皆さんも是非一緒になって考えてみてください。
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37,湯布院(2)2005.6.3

今週も、「由布院」の商店街を参考にして、色々と考えてみたいと思います。

Aそれぞれのお店の特徴を生かしたつくりになっている。

 〜確かな技術がそこには存在している〜

 それぞれのお店のつくりが、「この商店街のターゲットは、観光客ですよ」というひとつのコンセプトに向けての統一感をしっかりと感じさせられました。だからといって個性がないわけではないのです。

たとえば豆腐屋さんは、「豆腐プリン」とか、豆腐を生かしたいろいろな商品開発をしているようでした。中に入ってみると、多くの方が我先にと、たくさんの商品を抱え、レジには長蛇の列ができて、並べられた商品が、次から次へと飛ぶように売れていきます。私の話の種に味見をさせていただきましたが、あっさりとして、とてもおいしく思いました。ほかの職種の方たち、酒屋さんにしても、醤油屋さんにしてもアイデアいっぱいにお店作りをされていました。

また工芸品屋さんの手作り家具なども、送料を支払ってでも五島まで是非送っていただきたいと思わせるような商品でしたし、その他のお店も独創的なだけでなく、きちんとした商品創りを行い、自分たちの職種をたっぷりと含んだ、魅力たっぷりのお店造りをされているような印象を強く受けました。

 なかには、アフリカの民族楽器を売っているお店や、由布院とは何の関係もないんじゃないかな・・・というお店もたくさんありました。でも、そんなことは関係ないようでした。

 観光客にしてみれば、魅力たっぷりに、様々な工夫を凝らした商店がたくさん並んで軒を連ねている、まるでテーマパークのような感覚なのでしょうか。次々と違う店に入っていっては、いろんなものを手にとって眺めている風でした。

 ただし、各お店によってお客さんの入りは、当然のことですがどうしても偏りが出ていました。それは、ガイドブックで大きく扱われたりとか、立地条件というものでも差は出てくるのかもしれませんが、いかに客さんのニーズにあった商品を提供できているかということも関係してくるでしょう。

由布院を訪れる方たちは、リピーターも多いそうです。ですからで、やはり良い商品を提供していないと、飽きられることもあるでしょうし、体裁ばかり取り繕っても、買いたいと思わせるものがなければ、人は集まってこないのかもしれません。

五島も、魚介類をはじめとして、様々な五島ならではの産物があります。これからの時期は、私自身日本で一番おいしいと確信している、「ウニ」や「アワビ」がおいしい時期ですし、他にもたくさんおいしいものがあります。これからの五島の産業は、「観光」というものも非常に重要になってきます。五島にも多くのリピーターがやってくるように、すばらしい「五島発ブランド商品」や「島野菜」などを創り、魅力たっぷりに提供できるようにしていただければと願います。
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38,「こみせ」について2005.6.10

先日、緑ヶ丘小学校前の通りを車で走っていて、あることに気がつきました。「こみせ」が全然ないのです。以前は、小学校付近にも100mおき位の間隔で「こみせ」があったものでしたが、今では福江中学校から馬責馬場の交差点までの間に1〜2軒程度になってしまっているようです。

以前も書いたことがありますが、「こみせ」というのは、その地域のコミュニティーを形成していたのだと思います。近所の人たちは毎日「こみせ」に顔を出し情報交換をします。ほとんどの買い物はそこで用が足りますし、買い物しなくても、ただおしゃべりに来るような人も多くみられたようです。
 そうすることによって、どこの誰とかが具合が悪いとか、お祝い事があったとか、新しい人が住むようになったとか様々な情報を入手することができます。また逆に「こみせ」に顔を出さない人がいると、「何かあったのではないか」「具合が悪いのではないか」と心配して、近所の人たちが様子を見に行くようなこともあったようです。そして少し留守にするからとお願い事をしてみたり、荷物を預かってもらったり、電話をつないでもらったりと、このコミュニティーを中心に動いていたりしたものでした。私は、ある意味一種の公共的な事業とも言えるのではなかったかと思います。

 それが時代の流れもあり、大店法の規制が外れ大きな店がどこへでも出店することが可能になり、規制緩和の名の下に何でも売れるようになってしまいました。そうすることによって、小さな店にはだんだんと人が寄り付かなくなりました。商品が回転しないと、どうしても鮮度が落ちていきます。鮮度を落とさないように商品発注の数量を抑えると、仕入れ単価は高くなります。仕入れ単価が高くなると、安く販売できないのでどうしても販売価格を高く設定しないと経営が成り立たなくなります。販売価格が高くなると、なかなか人は買ってはくれません。また、「こみせ」を対象に商品をおろしていたような問屋さんたちは、物が売れなくなりますので営業ができなくなります。そうすると、「こみせ」には、商品すら入ってくるのが難しくなってきます。物が悪い方向へ転がり始めると際限がないようです。そのほかにも、インターネットが普及しいろんな情報が入ってきますし、通信販売も面白いように全国各地の様々な商品の情報を紹介してくれます。また、テレビショッピングなんか見ていますと、電話しなければならないような感じにさえなってしまいます。そんなこんなで、近所の店で物を買わなくなります。ますます小さな田舎の「こみせ」にとっては、つらく厳しいのが現状です。

 このままいきますと近所の「こみせ」は、ほとんどが閉店に追い込まれ、醤油を切らしたり、塩がなくなったといっても、歩いて気軽に行ける店もないため、わざわざ着替えて、化粧をしなおして、車で郊外店まで走るしかなくなってしまいます。車に乗らないような方たちは、タクシーででも走らないと、どうしようもない状態も考えられます。
 また、介護保険の導入によって、介護が必要とされる老人は、とても手厚く保護され、買い物なんかも、介護保険を利用してヘルパーさんたちにまとめて買い物を頼んだりすることが多くなり、自分では買い物に行かなくなっているようです。確かに便利になり、この制度によって助かっている面は数多くありますが、買い物をしてくれるヘルパーさんたちも、短時間で様々な仕事をこなさなければなりませんので、どうしても一軒で多くのものが調達できる大きな店舗に買い物に言ってしまうのもいたし方のないことでしょう。
 これまでずっと「こみせ」をやってこられてきた人たちは、自分たちの代までは、損してでも来てくれる近所の人たちのためにも営業を続けると頑張ってはみるものの、とても跡をついで欲しいとは考えられない状況だというのが現実でしょう。これは、「移動スーパー」も同じようなことが言えるのかもしれません。

しかしどうなのでしょうか。本当にそれでよいのでしょうか。
 様々な犯罪も増え、現在、地域コミュニティーの不足も叫ばれています。こういう時代だからこそ、狭い範囲での地域コミュニティーである「こみせ」を復活させ、「ローカルの中での人間の生き方を探るため」という、地域コミュニティーの柱としての位置づけとして確立させ下記のような事業を兼任していただくのはどうかということを考えてみました。

@五島市役所の出先機関として様々な情報の受付を行う。
 個人情報保護には細心の注意が必要となってきますが、公的機関の様々なサービスを、ショッピングセンターなどで行っている事例も他の県にはありますので、充分に考えられるのではないでしょうか。

A公民館活動の役割も担う。
 町内会活動や、地区公民館の連絡機関の中心として位置づけ、情報のやり取りを「こみせ」を中心として行っていくということも良いのではないでしょうか。現在、夫婦共働きは当たり前で、家になかなかいない家庭というのも、よくあることだと思います。また色々な当番に当たっても、担当の方たちと接触することすら難しいのが現状のようですので、そこでずっと営業している「こみせ」が中心にあると、非常に便利だと考えられます。

B在宅介護なども含めた色々な相談受付の窓口となる。
 介護保険という便利な制度ができ、介護を受けなければ生活が不便な方たちにとっては、非常にすばらしいことだと考えられます。ただし現状のサービスというものに対して、不満というものを感じることもあるのかもしれません。そのような街角介護相談受付所みたいな性格の施設は当然必要になってくるでしょう。また、老人をだまして詐欺行為を働いていたリフォーム業者の事件などもありました。そこで、五島市の長寿対策課の担当部署と連携をとりながら、そのような相談にのっていくということも是非必要なことだと考えられます。

C様々な活動の発信基地として。
 五島市の動向も含め、民間の団体や、小さなサークルなどの活動でも良いと思いますが、島内での様々な活動についての発信基地としても活用できるのではないかと考えられます。

Dコミュニティーバスの待合所的役割
 現在、商店街が中心となり、コミュニティーバスが運行されています。このバスを利用されている方たちのお話を伺うと、非常に評判が良く、このような動きを是非継続させていただきたいと考えていますが、「こみせ」をコミュニティーバスの中継基地として、また、待合所としても利用できるのではないでしょうか。

E郵政民営化に備えた郵便事業の受け入れ機関としての役割
 筆者は、現状では、決して郵便局の民営化に対して賛成するものではありません。その理由等は、ここでは差し控えますが、もしそうなった場合の受け入れ機関としても候補に挙げておいて良いのだと考えます。たとえば、切手が売ってあり、ポストがあり、荷物を預かってくれ、受け取りも代理で行え、印紙なども購入できる。そのなかで、預金や、年金ということになってくると、色々と考えなければならないことも出てくるとは思いますが、一部の施設では行えるようにしていかないと、将来的には、田舎でお金の取り扱いができなくなる可能性もあります。

これらのような営業活動を行うということで、準公務員のような立場で市から補助をしてでも営業を継続していただけるようにしてみてはどうかと考えます。いかがでしょうか。皆さんも是非考えてみてください。
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39,最終回2005.6.22

「僕らの島を考えよう@自然環境を考えよう(1)」

私達人類は、地球上の歴史に登場して以来、木を切り、山を切り崩し、農耕地を拓くことによって、つまりは地球上の自然を破壊することによって、その営みを続けてきました。
 加えて、急速に科学技術が発達する産業革命以後、多くの有害で危険な化学物質を生み出し、処理する方法もわからないまま、地球の自浄能力を頼りに、劇毒物や危険な薬品などを、空気中や、河川・海に垂れ流してきたのです。
 人類の便利さ快適さと引き替えに、空気は汚れ、オゾン層は破壊され、地球温暖化が進んで異常気象が世界中を襲い、酸性雨は多くの森林や湖を蝕んでいます。一方で、川や海に流された有害物質によって、人類自らが、水俣病に代表される多くの公害病や放射能被害に苦しんでいるのです。

 私達人類は、自分自身に直接被害が及んで初めて、自らの愚かさと、自然のかけがえのなさに気づくようです。
 総理府が1995年1月に行った「環境とくらしに関する世論調査」によると。心配だと思う地球環境問題は、「オゾン層の破壊」が50.7%で1位。以下「地球温暖化(45.4%)」「酸性雨(38.6%)」「世界的な森林の減少(35.4%)」「海洋汚染(24.3%)」「廃棄物が外国に運ばれる環境汚染(20.6%)」「開発途上国の公害・環境問題(15.5%)」「野生動植物の種類の減少(11.3%)」「砂漠化(7.9%)」だったそうです。
 次回は、まず「オゾン層の破壊」から、これがどういった問題なのか、具体的に考えて行きます。

 上記の文章は、平成8年6月の「ふくえタウンプレス第3号」で、この「五島市を考えよう」の前に書かせていただいていた「僕らの島を考えよう」の一番最初の原稿です。

 私たち「ごとうアイランドプレス編集部」は、もともと「ふくえタウンプレス編集部」として集まり、平成8年6月10日に「ふくえタウンプレス」という情報誌を発行したのを皮切りに、皆様へお配りできる範囲の拡大により、「ふくえアイランドプレス」「五島アイランドプレス」と名称を変更しながら9年間情報誌を発行させていただきました。
 私も個人的に「僕らの島を考えよう」「島野菜(しまやさい)」「五島市を考えよう」他のコーナーを通じて様々な提案をさせていただきましたが、この度、財政難及びその他諸事情により、残念ですが今週を持ちまして最終号になってしまうこととなりました。

 これまで勝手なことばかり書かせていただきましたが、これまで書いてきた提案が、ひとつでも五島市にとって、何か良いきっかけになればと願っています。またいつの日か、「新・五島市を考えよう」のコーナーでお会いしましょう。

・・・・皆さんも是非一緒になって考えてみてください。  (編集部 ・ 平山匡彦)
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